アメリカ南部の片田舎で“ピンク・フロイト”なるバンドを結成するも、練習という名のバカ騒ぎばかりをガレージのなかでくりかえすジーク、アールそしてディック。あることからディックが突然の死を迎え、いきさつを知るジークとアールは真相を周囲にひたすら隠そうとするが、やがて警察の捜査がじわじわとしのび寄り…。
ウソの上にウソを重ね、だんだんと窮地に追いこまれるという悲喜劇。主人公ジークはあまり賢いとは言えず、観る側はコトの真相よりもまずは彼が重ねるおバカっぷりに興味を抱く。アメリカ人であれば南部の田舎もんという設定や、おそらく字幕では伝わっていないアールとの低レベルの言葉のやりとりにもリアリティを感じるのかも。
実際に起きた事件をヒントにしたということ、あまりにもバカバカしくて笑うにも笑えないコトの真相。いちおうはミステリー仕立てにもなっていて、時系列に関する齟齬などにはこちらもちょっとだけ頭を使う。他のキャラもおしなべてどこか奇妙、舞台設定のせいか妖気だけをすっかり抜いたデヴィッド・リンチ作品という味わいも。
監督はダニエル・シャイナート。過去作が「スイス・アーミー・マン」と聞けば、ああこのひとはこれからも一風変わった怪作ばかりを手がけるのかなと期待。奇妙なドタバタのなか、やがては人間の悲哀やおかしみをしみじみと感じる作品、あとから気がついたけど、このチラシやタイトルそのものにも真相は隠れていました。
ログインしてコメントを確認・投稿する