中央競馬がずっと無観客のまま開催していることはごぞんじだと思う。誰もいない静かなパドックを黙々と周回しているサラブレッド、いやがおうでも先日春場所の幕内土俵入りを思い出してしまう。レースでは静かなデッドヒート、ゴール前の叩きあいではムチの音や騎手の唸り声が聞こえてくるのも、春場所同様に新鮮な感覚だった。
無観客実施がきまったとき、これは追い切り(レース数日前の調教)でいい時計を出した馬が好走するのではと思った。稽古場横綱と言われた碧山が春場所で活躍したように。ところが初めのうちは人気馬同士の決着で堅くおさまることが多く、馬本来の実力が出るのかなと思ったが、週を重ねるにつれてふだんどおりにおさまっていった。
先週からはG1シーズンに突入、WINS(場外馬券売場)もずっと閉まったままなので、仕方なくこちらも即PAT(スマホ投票)に加入した。テレビを見ながらスマホをいじるも、あいかわらず馬券ベタ《誰やG1大阪杯は牝馬来えへんって言うたんは!最初に有力牝馬2頭を外したら、その2頭でワンツーフィニッシュやないか!》は続いているが。
テレビの画面をとおして見たサラブレッドは、人間たちの大騒ぎなんか馬耳東風とばかり、ふだんよりずっと気持ちよさげに走っているように見えた。まわりで誰ひとり騒ぐことのない静かな芝の上、生まれ育った北海道の大地を思い出しているのかもしれない。さあ来週は桜花賞、いよいよクラシックレースのシーズンが始まります。
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