横綱同士による相星決戦のすえ、責任感の強い角界の第一人者白鵬が44回目の優勝。異例の春場所もなんとか丸くおさまった。この2週間、府立体育館あたりを何度も往来、いまここで取組が進んでいるとわかっていてもピンとこない。そのくせ周辺で信号待ちするタクシーの車列を見かけると、お相撲さんが乗ってるのではと思わず覗きこんだりも。
いつもと違う千秋楽の進行。感極まった10秒間の沈黙をふくむ八角理事長のあいさつ。見ているこちらは泣くまではいかなかったけど、全員が一礼した最後には感動のあまり思わず拍手をしてしまった。「立派に土俵を努めあげた力士を誇りに思う」という理事長の言葉があったけど、こちらもみんな十五日間よくがんばったぞというねぎらいの拍手だ。
そしてふだんはテレビに映ることのない千秋楽のしきたり神送りの儀式。これは何年か前にナマで見たことあり。本場所の幕引きというのはいったいどういうふうに締めくくるのか興味があったので、あえて千秋楽を選んで観戦したということ。すべてを見終えて館外に出たら、あのときは朝青龍だったか、ちょうど優勝パレードが始まるところだった。
後世に伝えるべき異例の十五日間。歴史の目撃者になったかのような我々は、新鮮に感じたことも多々、大相撲の新たな魅力を知るいい機会にはなったけど、だからといってもうこんな本場所は御免こうむりたいところ。ガランとした空間を初日に見たときの悲しさをけっして忘れることなく、来る5月の夏場所には十五日間満員御礼の熱戦を期待します。
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