副題が「電鉄会社の傭兵たちが作った夢の棲家」、著者は(株)阪神コンテンツリンク代表取締役社長兼Billboard Japan CEO。"石橋を叩いても渡らない”と言われたお固い電鉄会社の音楽ビジネス導入、しかも当初は水商売かと揶揄された"クラブ＆レストラン”開業。その原動力となった著者が「大阪ブルーノート」開設から現在のBBL隆盛にまで至った道のりを綴っていく。
基本的にはビジネス書。入社直後は阪神パークに配属された著者が、人間関係にも恵まれつつ自身の好きなことを事業まで昇華させたノウハウが語られる。もちろんジャズ・フュージョン系を中心とした著名ミュージシャンたちとのふれあいにも多くのページが割かれ、滞日中の気まぐれな彼らにふりまわされたエピソードの数々は実に興味深い。
阪神電鉄株式会社。良くも悪くも（悪いほうが多いか）いままでは阪神タイガースの親会社というフィルターを通してその存在にふれることが多かった。本書にもかってのオーナー久万氏や宮崎社長をはじめ、虎ファンにはおなじみの名前が何人か登場。音楽ビジネスにたいしてもあいかわらずのキャラを発揮していることには思わず苦笑。
著者は私と同い年。度々の人事異動にてビルボード部門とタイガース部門を行き来するとはなんとうらやましい会社員人生かと、BBLそして甲子園へは毎月のようにお邪魔しているこちらは思ってみたり。どちらにしてもそれらふたつのエンタメ非日常空間のおかげで、日々の生活が彩りのある楽しいものになっていると、著者にはこのうえない感謝の念を抱いた次第です。
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