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2019年11月10日13:30

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「国家が破産する日」〜対岸の火事・他山の石

1997年に韓国で起きた通貨危機を真正面からとらえた骨太の社会派ドラマ。この現代韓国史に残る大激震を、韓国銀行の通貨政策チーム・経営コンサルタント・町工場経営者の3つの視点から描いていく。いちおうフィクションとされているが破たんした大企業の名称などはすべて実名で登場。IMF理事に扮するのが、なんとフランスの個性派俳優ヴァンサン・カッセル。

ドキュメンタリータッチで進められるツカミの部分では、いやがうえでも日本のバブル崩壊を想起してしまう。そしてそれ以上のシリアスな事が隣の国には起きたのだとわかると、だんだんと重苦しい気持ちになってくる。事実がゆえにごまかしが効かず、そのぶんリアルに徹していて、美人ながら色気も艶もないヒロイン(キム・ヘス)のふるまいにもそれを感じたりする。

通貨政策チームと財務局の丁々発止のやりとりなど、韓国経済・金融関連の知識に長けていたほうがより楽しめるとは思うけど、「マネー・ショート」等、ハリウッド製でたまに公開されるその手の作品ほど観る側が置いてきぼりを食うこともない。むしろ同じ東アジア人としての近しさを感じることのほうが多かった。おカネにまつわる良きことも悪しきこともふくめて。

そう、ネタバレになるからあまりツッコメないけど、“世の中カネがすべてではなく、もっと大切なものもある”という視点がこの作品にはほとんど存在しない。せいぜい町工場経営者の妻の心情描写ぐらいか。あくまでもリアルに徹していて、ある意味そのスタンスは潔いのかもしれないけど、ふつうならわずかでも盛り込もうとするのでは。そこがちょっと気になりました。

【あまり関係ない話。当時の韓国でこの通貨危機脱出に貢献した中心世代を“386(サムパルユッ)と言って、30代・80年代に大学を卒業・60年代生まれ世代を指す流行語でした。当時私はまさに386、よく韓国のひとたち相手に「私は386世代です」と言ってウケてました】
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