「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督、劇場長編第2弾。緊張すると気絶してしまうという病癖の持ち主はヘボ役者の和人。ある日彼は弟の宏紀から、なんでも屋を兼ねた俳優事務所「スペシャルアクターズ」に誘われしぶしぶ入所。いきなりやってきたミッションはカルト宗教集団から家族を救いだし、彼らの悪行を暴いてほしいというものだった…。
「カメラを止めるな!」組からはひとりもなく、11歳のとき「誰も知らない」に出演した北浦愛ちゃんほか、出演者はすべてオーディションで選んだ無名の俳優ばかり。作品全体のタッチもほぼ「カメラを止めるな!」と同じ安っぽいたたずまい、ただ両作品とも集団のなかに父娘関係のふたりを配しているのは、上田監督による何か特別なこだわりなんだろうか。
カルト宗教集団といういかにもイジリやすい対象とはいえ(やっぱりこういう状況では関西弁が効果的だなんて思った)、絶え間なくドタバタが続くなかどんでん返しが幾重にも。観る側は騙される快感という映画作品ならではの楽しみに十分浸れるはず。そしてすべてが終わったとき、このタイトルの意味をしみじみとかみしめることになると思う。
有名俳優を起用したり、ロケや技術的な部分におカネをかけたり、その気になればいくらでも製作資金に余裕があるはずの上田監督、そして今回は大手松竹の配給、かなりのプレッシャーに囲まれながらも前作とまったく変わらぬスタンスなのは好印象。そして観終わったあと、熱演の俳優たちをとても愛おしく思う、この穏やかな気分も前作とまったく同じでした。
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