大谷翔平、懐かしい未来

『泣くな、花巻東の大谷君。阪神タイガースに入ったら毎日でも甲子園で投げれるぞ！』　これは6年前の夏、【今日の阪神】の最後にその日地方大会の決勝で敗れて甲子園行きが果たせなかった大谷をはげました一文。エラそうなこと書いて本当にすいませんでした。そして阪神タイガースに来なくてよかったといまつくづく思っています。

なぜわれわれは野球（スポーツ）を観るのかと聞かれたら、こちらの想像力をはるかに超えた、マンガみたいなことが起きて、とほうもない感動を得れるから、という答えが真っ先にあがるはず。過去の名試合・名場面をいくつか思いだしていただければ。もしそれらが何かのシナリオとして書かれたのだったら、あまりにもクサすぎてボツになるものばかりだろう。

そしていま一番そのマンガみたいなことをしでかしているのが大谷。長いこと野球観てるけど、まさかこんなプレーヤーが出てくるとは、これが21世紀ってことか。それでいて彼の風貌は、昭和の野球漫画しかも“プレ巨人の星”時期の朴訥な作品の主人公を思わせる。まああのころのエース兼4番といえばデフォルメ気味に手足を長く描いてあったけど、大谷にはその必要なし。

そういえば文頭の一文を書いた翌年の初め、こんどは【今年の阪神】で新外国人コンラッドを紹介したときに残した一文。『かってはヒルトン、ハイアットと大手ホテルチェーンの名前がついてれば誰でも獲るのかこの球団は。するってえと何か、日ハム大谷はメジャー帰りをねらって獲るからニューオータニか』。そこのところ、どうかよろしくお願いします。