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2018年11月10日15:00

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「生きてるだけで、愛。」〜自分は自分と別れられない

ダメダメ女の再生物語と言ってしまえばそれまでだけど、観終わったあとこれほどタイトルが心に響いてくる作品もそうはないのでは。もう10年以上前になる「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」や「乱暴と待機」、映画化作品は傑作がならぶ本谷有希子の小説が原作。監督はドキュメンタリー「太陽の塔」が封切られたばかりの関根光才、これが長編初監督作品。

ヒロイン寧子を演じた趣里、彼女の魅力がついに開花したことが最大の収穫。躁鬱気質で過眠症、感情の起伏が激しいダメダメ女…。あまりにも個性的なキャラのせいか、いままではわりと物語のスパイス的な“超脇役”だった彼女がついに自分のものとした記念碑的作品、スター誕生というのはちょっと大げさだけど、今年の最優秀主演女優賞は彼女のものと言っていいと思う。

この作品にも出演している石橋静河が、ご両親のDNAをうまく合わせもった魅力を放っているのとは反対に、趣里からはご両親の匂いがまったく感じられないのが興味深い。そしてこの作品全体に漂うやるせなさやけだるさは、前者の母親と後者の父親が共演した40年以上前のATG青春映画の傑作「青春の殺人者」に通ずるものがあるように思えてくるから面白い。

共演の菅田将暉も忘れるべからず。髪型等ただ単に外見のせいかもしれないけど、作品ごとに印象がまったく違ってくるのがやっぱり魅力的。ヒロイン寧子の口からは感情のおもむくまま発せられているようでありながら、いつまでも残しておきたいセリフがいくつも。ことしを代表する、そして今後もずっと語られる邦画の一本と言って間違いないと思います。
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