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2018年05月19日14:45

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「モリのいる場所」〜昭和の生き物がかり

緑生い茂る庭、そしてそこに棲息する小さな生き物たちをこよなく愛した画家モリこと熊谷守一、その94歳の日常を演じるのは山崎努。そして彼の人生に寄り添う妻・秀子には樹木希林。舞台は昭和49年、木造家屋のお茶の間でのひょうひょうとした老齢の彼女、まったく違ったキャラながら、ヘンにタイムリーというのか「寺内貫太郎一家」を思い出してしまった。

熊谷守一に関する予備知識がほとんどなかったので、静かな山村が物語の舞台なのかと思っていたら、そこはふつうの住宅地(突きつめて言えば東京23区内〜このロケーションは後半の展開に大きく作用する)の一角だった。それにしても実に数多くの小さな生物たち。おそらくモリの視点ということだろう、その生態ぶりが次々とアップになっていく様は実に興味深い。

聞こえるのは虫や鳥の鳴き声だけ、静けさを重んじるこういう作品は、淡々とした時間を味わうべし、物語の起伏や劇的な結末を望むものではないということぐらいは初めからわかっている。ただ思っていたよりおチャラケやシャレが効いていて、熊谷家のお手伝いさん美恵ちゃん(池谷のぶえ)は何度も笑いを取り作品全体のスパイス的存在になっている。

そう、“ベテラン俳優ふたりが演じる老境の夫婦による淡々とした静かな生活”、この手の作品というのは、過去の例を見てもちょっと優等生が過ぎてなかなかケナしにくいものだけど、今回の物語に関してはけっこうツッコミどころを残してくれているような。前宣伝の印象よりはずっと肩の力を抜きリラックスして観れる作品に仕上がっているように思います。
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