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2018年05月12日14:00

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「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」〜無邪気すぎる日々

“夢の国”フロリダ・ディズニーワールド近くにある安モーテル、低所得者層が集まる環境でホームレス寸前の暮らしを続けるシングルマザー・ヘイリーと6歳のムーニー。このすさんだ日々はいったいいつまで続くのか…。社会の底辺でうごめく家族像そして育児放棄のバカ親ぶり、かっての是枝裕和監督傑作「誰も知らない」を思いださせる社会派の一作。

時系列をいじったり伏線を用意したりすることもなく、カメラはムーニーたちの日常をえんえんと追っていく。物質的にも精神的にも病んだ環境にいる子供たちは、どこまでも無邪気なままいたずらをくりかえし汚い言葉を叫び続ける。その淡々とした感触、ひょっとしてこれはドキュメンタリー作品ではないかと錯覚してしまうほど。まあそれだけ子役たちが好演だということだけど。

社会性なし責任感なしの“超バカ親”ヘイリーにまったくの無名女優ブリア・ヴィネイトを起用したことが、おそらくリアリティを強く感じる理由なのだろう。ただ、武骨ながらもモーテルの住人達には愛情を持って接する、管理人ボビー役にウィレム・デフォーが起用されていて、彼の存在感がどこまでもやるせない物語を終始ぐっと引き締めている。

エンディングの急展開はいかようにも解釈可能。ムーニー(ブルックリン・プリンス)一世一代の熱演には誰しももらい泣きするはず。それにしても何かもっといい邦題を用意できなかったのだろうか。最後まで観れば“真夏の魔法”というサブタイトルもわからなくはないけど、ちょっと能天気かなと思ったりも。まあそれだけいろいろ解釈のできる結末だということです。
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