2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件、解決にいたるまでの《102時間の真実》を映画化。主人公・ボストン警察の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)のみがこの作品のために設定された架空のキャラ、そのほかの国家・警察側にはすべて実在するモデルがいて、ケヴィン・ベーコン、ジョン・グッドマン、J.K.シモンズといった芸達者どころが実に巧く演じている。
事件にかかわった人たちそれぞれの、当日の朝のようすがかわるがわる描かれる。こちらはその数時間後におきる凄惨な出来事を知っているから、この平穏な時間がとても愛おしく思えてくる。やがて場面はマラソンコースへ。そのときがやってくる直前の緊張感はハンパないもの。そして大爆発。リアルに再現された爆発直後の生々しい現場のようすには思わず目を背けてしまう。
最近の実話作品のおきまりごと、実在の人物登場はきっちり最後に用意されている。ただし今回はエンドロールの添え物程度ではなく、まるでドキュメンタリー作品のエンディングを観るかのようにていねいな描写が続く。そう、話が後半に進むほどドキュメンタリー的要素が強くなり、オバマ大統領の実際のスピーチが挟まれたりするからその境目はだんだんとあいまいになってくる。
なのでトミーの存在は、従来のUSヒーローもののようにひとり突出するようなことはなく、家族との湿った場面も極力最小限に抑えられている。そこにはボストン市民こそがこの事件の主役であるというメッセージがこめられているはず。そしてこの事件から4年、テロとの戦いがますます激しさを増しているいまだからこそ、このリアルな物語を直視すべきなのではと思いました。
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