山内マリコの同名小説を蒼井優主演にて映画化。彼女の単独主演映画作品は8年ぶりのことなんだそうな。たしかに彼女って、男性(あるいは強き女性)より一歩下がったところで、その独特の存在感を爆発させるようなところがあるからなあ。さて今回の作品、ひとことで言えば“地方都市特有の閉塞状況を打破しようとする若き女性たちの物語”ということになるか。
とんでもないハジケっぷりでウザさ満開、新境地を見せる高畑充希が演じるアイナ、そして彼女をとりまく鬱屈だらけの男子たち、さらに無差別で男性を襲う女子高生ギャング…エナジーのぶつけどころがわからないハイテンション集団を周囲に配しておいて、どまんなかに低体温・低血圧のハルコ(蒼井優)を据えているのはなかなかの構成。
ただ時系列をかなり意図的にくずしてあるから、物語全体の流れにうまく乗っかっていくのがちょっとやっかい。どこか置いてきぼりをくっているような感覚のままスクリーンを見つめることになりそう。そしてエンドロールをながめつつようやく話の組み立てに納得がいった、みたいなことにも。いや、いまでも正直なところ細部のつじつまはかみあわないまま。
そう、ちょっと前であれば“新感覚ムービー”という言葉でかたづけられたような作品、細かいことをあれこれ言うのはヤボの骨頂なんだろうと思ったりもする。ストーリーの収束とか着地ということにも、はじめからまったく配慮がないような感じだし。とにかく最初に書いた地方都市特有の閉塞感だけはたいへんよく伝わってくる、イマの日本をポップに切りとった作品でした。
ログインしてコメントを確認・投稿する