1940年代伝説の“音痴”ソプラノ歌手、フローレンス・フォスター・ジェンキンスの物語。この実在の人物に関しては、いままでもけっこう取り上げられていて、ことし初めの仏映画「偉大なるマルグリット」で題材になったばかりだし、その聴くに堪えない音源は、NHK-FMあたりの“変わり種レコード特集”みたいな番組でけっこう何度も耳にした記憶あり。
主演はメリル・ストリープ。もはやこのひとは歴史上のあらゆる女性著名人を演じないと気が済まないらしい。物語が後半に進むと、奔放な主人公より彼女を温かく見守る夫シンクレア(ヒュー・グラント)に思い入れが移っていくのは男性の私だけではないはず。そしてもうひとり、サイモン・ヘルバーグという男優が演じた特異なキャラのピアニスト、これがまた強烈な印象。
主人公フローレンスは自分が名ソプラノ歌手だと思いこんでいて、音痴であることに気づいていない。シンクレアはじめ周囲がそれをひたすら隠すというのが、ストーリー展開のうえでのひとつの面白さとなるはずなのに、その部分のメリハリがちょっと甘かったかなという気がしないでもない。もちろん最後には夫婦愛の物語としてきっちり着地するのだけど。
周りから観客の笑い声が聞こえてくるような、アメリカの古きシチュエーション・コメディの匂いがプンプンするも、俳優陣が持つ気品みたいなものが、単なるドタバタにならずその寸前でとどめている感じが気持ちいい。自由の国アメリカといえどまだまだスクエアな、当時のセレブリティのファッションやマナー、言葉づかいが存分に味わえる楽しい作品でした。
ふざけてわざと思いきり外して歌っていました。
[ 今から私はあるパーティーで歌った婦人の歌った通りにこの歌を歌います]
誰もがヒーヒーと笑ってしまう上手な歌でした。
滑らかな文筆力で映画の優雅さや楽しさが伝わり、
楽しい一時をありがとうございました
実在の彼女の実際の歌声を聴きました。確かに思わず笑いを誘う歌いっぷりですね
メリル・ストリープは映画で歌うことが多く、ロックも結構いけてましたよ。
あの年齢で・・と思うと
こんなふうに描かれていたら、その映画、観てみたいですね(^^♪
ところで、今日は映画の日ですから、お安く観られたのでは?
来年も婦人参政権をテーマにした実話ものの新作が封切られるみたいですね。楽しみです。
YouTubeの時代になって、彼女の古い動画が歌声とともに何度も再生され、再び注目されたという側面もあるみたいです。
まあいかんせん娯楽映画ですから、多少の誇張はあるかと思いますが。
映画の日とは関係なく、ありがたいことに近くの映画館の株主優待券(タダ券)を知り合いのかた(株には興味があるけど映画に興味なし(笑))から毎月2枚いただいているんです。