この作品、たしか前回W杯・ブラジル大会の直前に封切られるとか言ってたやつじゃなかったっけ。のびのびになってリオ五輪にはなんとか間に合わせましたってことか。サッカーの王様、ペレがらみの映画はこれまでもいくつかあったと思うけど、今回は1958年のW杯スウェーデン大会をクライマックス・シーンに、つまり17歳までの彼を描いた伝記物。
細かいパスをつないでいくようなカット割りがとても小気味よく、テンポよく話は進んでいく。物語前半のスラム街描写は生々しく、試合場面のアクションなどはかなりの迫力。後半にすすむにつれて、ペレよりむしろブラジル・ナショナルチーム、監督以下イレブン全員が物語の主役であるかのような雰囲気となり、知らず知らずのうちに彼らを応援してしまっている。
9歳までのペレとそれ以降17歳までのペレ、演じるふたりはオーディションで選んだサッカー好きの少年たちらしい。父親役には歌手のセウ・ジョルジ。そしてこの作品のプロデューサーとしても名を連ねるペレご本人がちらっと一瞬だけ顔を出すんだけど、これがまたカッコいい…というかこのシーン全体が、ちょっとしたお遊びかつ物語のスパイスでもあるような。
言ってみれば伝記映画の王道。ちょっと教科書的な感じがしないでもないので、彼のことをよく知るサッカーマニアは、もう少しヒネリを加えてほしいなんて思うかも。まあそういう意味ではそれこそ17歳のサッカー少年団体鑑賞なんかにはうってつけの作品なのでは。サッカーにあまり詳しくないこちらとしては、このままのトーンでこのあとの彼も追ってほしいななんて思いました。
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