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2016年07月02日15:10

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「疑惑のチャンピオン」〜山あり谷ありの輪行

自転車レースの最高峰「ツール・ド・フランス」で前人未到の7連覇を達成した英雄ランス・アームストロング、その彼に薬物使用の黒い噂が。「クィーン」のスティーヴン・フリアーズ監督による実録ドラマ。栄光の座をつかみながら転落への道をたどるアームストロング、執念で彼の疑惑を追うジャーナリスト、このふたりが文字通り物語の“両輪”となっている。

かろやかに自転車で風を切って駆けるときのように、実にテンポがよく全編103分があっという間。アームストロングのノンストップの人生は、それこそ「ツール・ド・フランス」のコースのように山あり谷あり、観ているこちらは飽きることがない。病に冒されながらも奇跡のカムバックを果たす導入部分だけでも一本の映画ができるだろうドラマティックな展開だ。

一見、実際のアームストロングよりはやや小物っぽい印象をあたえる主演のベン・フォスターだが、彼は悪なのか善なのか、否定すべきか擁護すべきか、観ているこちら側の気持ちを惑わせるキャラという意味では非常にハマリ役かと思う。口元に意志の強さが見えたかと思えば、焦点が定まらず目をキョロキョロさせたり、強者と弱者が同居した男を実にうまく演じている。

禁止薬物の名称がいくつも登場、血のしたたる投薬の場面は実に生々しい。(運動能力を向上させるための)「THE PROGRAM」という原題がリアルに伝わってきて、これは自転車レースだけにとどまらず、スポーツ界全体の問題だなと重たい気分にもなる。わずかながらこちらの気持ちがやわらいだのは、ダスティン・ホフマンがチラッと顔を出したときぐらいかなと思う。
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