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2016年07月01日16:50

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「ブルックリン」〜50年代ニューヨークそしてアイルランド

1950年代のニューヨーク、ヒロインは高級デパートの服飾品売場店員〜これはことし初めに封切られた、やはりオスカー作品であるトッド・ヘインズ監督「キャロル」とまったく同じ設定。単なる偶然だろうけど、それだけ当時の百貨店というのは魅惑的な空間であると同時に、そこで働くひとたちの、個性豊かな人間模様が作品に彩りを加えるのだろうかなどと思ったりする。

エイリッシュ(「つぐない」のシアーシャ・ローナンは22歳になりました)は故郷アイルランドを離れてブルックリンに移住する。片田舎から出てきた右も左もわからない女の子が、仕事にとまどいながらも少しずつ大都会の水に慣れて洗練を重ね、やがては恋に落ちたりもする。ここらあたり、つまり前半部分までは古今東西よくある青春ストーリーなんだけど…。

50年代のレトロ・ファッションはどれもこれも美しく、デパートでの会計システム、パスタの正しい食べかた、ニューヨークの野球チーム…いろいろとツッコみたくなってくる小ネタもそこかしこ。共同生活をする個性豊かなデパートガールたちが、寮のダイニングでそろってフォーマルなディナーを囲むさいに、口やかましい寮母と展開するやりとりはとても楽しい。

ヒロインがふたたび故郷に戻ることを余儀なくされて、ブルックリンでの自分そして故郷に身を置く自分を対比させ、最後には人生の決断にまでいたる後半部分の味わいあふれる展開こそが、この物語を単なる直線的な“上京青春物語”に終わらせていない要因だと思う。あと日本でリメイクすることがあったら、まちがいなくヒロインの役は黒木華だな、なんてことも思いました。

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