なんとアルバム収録6曲すべてをプレイ。しかも曲順そのまま。もう大満足。生まれてはじめて小遣いを貯めて買ったLPレコード、おそらく生涯の一枚にも選ぶだろう作品が目の前でそっくりそのまま再現される、こんな僥倖に恵まれる人間ってどのくらいいるだろう。幕開けのタイトル曲SE、機関車の音が聴こえてくるだけでもう鳥肌が立ってきた。
アール・スリックの目の前に陣取る。セットリストがすぐそこに。あわてて目をそらす。せっかくここまで情報封鎖してきたのに。ライブのあいだもそのリストを見ないようけっこう苦労した。1983年のデヴィッド・ボウイ「シリアスムーンライト・ツアー」、こちらの座席はPAブースの真上、開演前にすべての演奏曲を知ってしまったことを思いだした。
アルバム6曲をすべて終えたあとに4曲。昨夜がワールドツアー(というほどでもないけど)オーラス、ネタバレしてもいいか。「ダイアモンドの犬」「ヴァレンタインズ・デイ」「愛の勝利」そしてアンコールで「ヒーローズ」。意外といえば意外。これらの曲を選んだプロセスが知りたくなってくる。まあさすがにミック・ロンソン時代の曲はやらんわね。
ミック・ロンソンといえばバッキング・ボーカルに彼の娘さんリサ。かと思えばドラムをたたいていた若いニーチャンはアール・スリックの息子さんとけっこうファミリー・バンドっぽくもあり。あと教えてもらうまでまったく気がつかなかったけど、サックス・パーカッション・ギターと活躍していたのが元スパンダー・バレエのスティーヴン・ノーマンだった。
ボウイの不在感とか、バーナード・ファウラーとボウイのボーカル・スタイルの比較とか、そういうボウイをからめた気持ちは不思議といっさい湧かなかった。お気に入り楽曲の数々を、一流のミュージシャンたちがしっかりとカバーしてくれているという感じ。たぶんいろいろと重箱の隅をつつくひともいるだろうけど、とにかく私は大満足です。
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