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2016年05月01日11:30

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我が名は鶴亭@神戸市立博物館

18世紀・江戸中期の画僧。つまり僧侶であって画家。鶴亭というのは画号、wikipediaでは海眼浄光という僧名のほうが項目になっている。このポスターだけを見ていると、けっこうポップな感覚の画風に思えるし、展覧会HPをのぞいても色彩感覚にあふれた作品ばかりがならんでいるけど、実際の展示を見るともっと渋い色合いの花鳥画が多かった。

どうやら若冲人気に便乗した催事なのか、作品ごとの解説に目を通しても、若冲のもつポップな側面との対比に多くの文言が割かれていたし、わずかながら若冲自身の作品も展示してあった。若冲のほうが4歳年上ながら鶴亭の弟子にあたるという表記もあったけど、いろいろ調べたら直接のつながりはなく画風の影響だけだったという説もある。

“松竹梅”とはよく言ったもので、掛軸として飾られるだろう縦長の空間に竹や梅をうまくあしらった作品が多く、いつも思うことながらこの時代の画家は咲きほこる桜の花をあまり描かなかったのかと不思議に思う。マジで高僧を五百人描いたのかもと錯覚しそうな「五百羅漢図」のユーモラスなタッチは印象的、まさに“坊主が屏風に坊主の絵を上手に描いた”という趣きである。

長崎生まれ、京都に出てきたあとも大坂・江戸とけっこう居を移し、生涯の後半も各地を旅した鶴亭の人生。享年が64歳というのは、あの時代では長生きのほうなんだろう(若冲は80歳まで生きた!)。まあ実際のところは陽光あふれるGWの神戸の街よりは、静かに雪がちらつく寒空の京都で観たほうが、より雰囲気にあふれた鑑賞になったような気がしないでもない。
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