記者会見の関西人

きのうの安藤忠雄の記者会見に、どうも煮え切らないものというか歯切れの悪さみたいなものを感じたのは私だけでしょうか。なんというかふだん以上に関西人的な匂いを前面に押し出して、へりくだりつつ饒舌なまま周囲を懐柔してしまおうみたいな意図が感じられたんだけど。はるばる大阪から会見場に来ていた毎日放送の記者を壇上からイジってみたり。

自分のほうが不利と知りつつ相手を丸めこみたいとき浪花節に徹する寝技。実際に何度か経験してますが、これって関西の商売人が東京のビジネスマンに向かってよく用いるスタンスですね。今回の会見で彼が主張したことの是非、真偽のほどはわからないけど、もうちょっとフォーマルにふるまってくれたほうが説得力があったと思うのですがどうでしょうか。

いっぽう夜半をすぎてからの又吉直樹の芥川賞受賞記者会見。お笑いも文学も言葉が大切とばかり、緊張しつつも一語一句を選び選び語っているような感じの彼にとても好感が持てて、こちらの関西弁はうそ偽りのない実に自然な感じに映りました。とにかく今回の受賞はお笑い界にも文学界にもそして出版業界にとっても明るい話題となったはず。

私は彼（というかピース）のネタそのものも数年前のM-1でしか見たことがなく、まして今回の受賞作も読んでないけれど（これから読むかどうかもわからないけど）、大きな台風が近づいていた夜そしてこの国のがイヤなほうに向かうことばかりが続いている日々のなかで、今回のニュースはひさびさに（彼の風貌に反して）清涼感を味わうものとなりました。