お骨上げのためにふたたび出向いた火葬場で我々親族一同を担当した初老の職員のかたが、なんとウディ・アレンにそっくりだったのです。Mr.オクレも多少入ってましたが、まあそんなもの入ってても入ってなくてもだいたい彼の雰囲気はわかりますよね。メガネをかけて小柄でやせぎす、あまり健康には見えずいかにも気が弱そうで…。
我々の目の前に横たわるなきがらの灰にまみれた骨の部位を、誰ともいっさい目を合わすことなく終始伏し目がちのまま、違い箸を手に小声で粛々と説明していくさまをぜひウディ本人に見せてやりたいと思いました。日本を代表する古都にある火葬場職員なんていかにも彼が喜びそうなキャラクター&シチュエーションじゃありませんか。
そう、仏寺の多い奈良のことだから火葬場もそれなりのものがいくつかあるようなイメージをいだきますが、市内には今回訪れたところ一か所のみとのこと、しかもかなり老朽化していました。そういえば奈良ドリームランド跡地に火葬場建設の話がもちあがったものの、周辺住民の反対にあって計画がとん挫したままだという話題を以前耳にしたことを思い出しました。
もちろん目立つことなくひっそりと存在する場所であるべきですが、姿かたちをともなう故人を弔う最後の場所にしてはあまりにも朽ちた印象でした。火葬場に向かう一本道の入口にわりと大きめのゴミ捨て場があって、そこには大きく「燃えるゴミ/燃えないゴミ」と書いてあるのにも、かならずそこを通ることになる遺族の気持ちを察するとなんだかなあとも思いましたし。
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