NHK「日曜美術館」でおなじみの俳優、井浦新が2年間にわたって下鴨神社四季おりおりの自然や祭、催事を撮りつづけたモノクロ写真15点。当神社式年遷宮奉祝記念事業のひとつとのこと。ふだんは非公開の重要文化財・神服殿を開放、けっして広くないスペースながら、おごそかな雰囲気を十分堪能できるひとときでした。会期は9月30日まで。
その15点の作品が染め摺りした和紙の掛け軸に印刷してあるんですね。古式ゆかしき空間でありながら、日本人ならではの繊細な最先端技術がそこにあることにも驚かされます。となりの部屋では井浦新自身のナレーションによる映像作品がエンドレスで流れていて、畳の上に座って彼の創造した世界にひたっていると、いつのまにか気持ちはすっかり和らいでいくのでした。
彼の言葉によると御生(みあれ)とは命の再生をくりかえす自然の営みとのこと。15点のなかでは神事におけるひとびとの表情・動きをとらえた作品が印象的。そしてモノクロ写真というのは一瞬の動きをとらえるのにやっぱり適しているなと。この2年間、いそがしい俳優業のさなか彼は何度京都を訪れ、何度シャッターを押したのだろうかと、その情熱には敬服あるのみです。
私自身、下鴨神社訪問はたぶん今回が初めて。行く前には上賀茂神社と勘違いしていたくらい。けっして山あいなんかではなく、市街地と言っていいエリアなのに、こんなに緑が深くえんえんと重なる場所だとは思いませんでした。そしてこの緑の木々はほとんどもみじ、つまり秋の季節だとどれだけ鮮やかな光景が目の前に展開するのか、ぜひ再訪すべしと決意したのでした。
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