河瀬直美監督、もうすこしでパルムドールにとどくところだった作品。今回はまちがいなく獲れるものとカンヌに乗りこんだものの、残念な結果に終わったときのくやしそうな監督の顔がとても印象的でした。奄美大島を舞台にした人間の生と死そして性をテーマにした物語。この監督の得意とするドキュメンタリー・タッチのカメラワーク、そして荒涼たる自然描写もみどころのひとつ。
やっぱり少年少女・主役ふたりの熱演に拍手。一般的にはまだまだ無名、言ってみればいまだ手あかのついてない天然無着色のふたり。少年のほうは村上虹郎(にじろう)、彼の父親役でこの作品にも出演している俳優・村上淳そして歌手UAのあいだにできた男の子。ちょっとだけデビュー数年後の柳楽優弥が入ってます。
少女のほうは吉永淳。こちらもピュアな匂いをふりまくものの実際は大阪・北野高校を卒業した21歳。“原石を掘り当てた”感がとても強いこれからが楽しみな女優のひとり。そういえばかって河瀬作品で見た尾野真千子も同じような透明感にあふれてました。「小さいおうち」の黒木華といいこのところ大阪は有望な若手を輩出しておりますね。
作品全体をおおうリリカルな感触を、単なる冗長と受けとめられてしまえばそこでおしまい。けっして饒舌とはいえない(とはいえ沈黙ばかりでもないけど)セリフのひとつひとつが実に味わい深い作品でした。そういえばタイトル「2つ目の窓」の意味するところは最後までわからず。みなさん、ぜひご覧いただいてそのあたりの解明をお願いしたいところです。
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