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2022年06月22日19:11

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神宮スズメの独り言2022春〜87〜修羅場の数

1点リードした9回の裏。東洋の河北君がマウンドに上がった。この試合に勝った方が来季は1部という1勝1敗で迎えた入替戦の第3戦。昨年の春に2部に落ち、秋にはコロナで入替戦が行われずに迎えたこの春の入替戦。東洋の選手たちはこの試合に勝つためにここまでやってきたはずだ。そしてその目標達成はあとわずかまできた。試合は1回の表に1点を入れただけ、1−0で迎える9回の裏。

ここでマウンドに立つ投手の心の内というのはどうなのだろうか・・・・



東洋は中央の先発西舘君から初回、先頭の松本渉君がレフト線を襲う打球。中央のレフト櫻井君のまずい守備もあってこれが3塁打となり3番の石上泰輝君のライト前安打で昨日に引き続き幸先よく1点を先制した。だがその後は中央の西舘君に抑え込まれた。

東洋は2回以降は1安打の走者一人。4回以降はパーフェクトで三振は7回の1死までに10を数えた。だからこそその後矢吹君が四球を選んだ時はまるでタイムリーを放ったかのようなガッツポーズで1塁へ走っていったのだ。しかし西舘君は送りバントで2塁を奪われたが最後は三振に取った。

もちろん東洋の細野君も負けてはいない。7回2死まで被安打2。4回以降はパーフェクトだ。スコアこそ1−0だったがこの両投手は互角だった。しかし、細野君はここから四球を連発する。同じようにガッツポーズをしながら1塁へと走った石井君のあとの高橋君はストレートの四球だった。

ここだったとボクは思う。細野君は第1戦でも7回の先頭打者に2塁打を打たれたあと2つの四球を出した。ここで投手交代となり押し出しとワイルドピッチで2点を献上している。彼は3年生ながら155キロのストレートを持つサウスポーだ。左打者のインコースに決まる真っすぐの威力は抜群。来年のドラフト候補であることは間違いない。だが彼は今季の2部リーグで1度も完投の経験がない。ここが彼のこれからの課題なのだろうとボクは思う。

結局中央はこの2つの四球で得たチャンスは活かせなかったが、しかしこれは大きな意味を持つとその時ボクは思った。これで9回に3番の森下君4番の北村君まで回るのだ。

7回に互いに3回以来の走者を出し試合は緩やかに動き出していった。8回の表の東洋は後藤君・橋本君がともに初球を打って凡打。松本渉君も3球目で内野ゴロ。この回の東洋は5球で攻撃を終える。そしてその裏から東洋は河北君をマウンドに送った。

ボクはそれは正解だと思った。完投能力に一抹の不安がある細野君。そのポテンシャルそのものはすごいとは思うが、東亜学園出身ということで修羅場経験も少ない。河北君は浦学時代、その夏に春夏連覇を果たした大阪桐蔭と準々決勝を戦った選手だ。そのチームメイトには今早稲田で活躍する蛭間君もいる。そしてその河北君はいきなり連続三振を奪うとあっさり三者凡退に切り抜けた。そして9回の東洋は先頭の水谷君が安打で出塁。送りバントで2塁へ進めたが、西舘君は後続を平凡な外野フライに打ち取った。

打ち取られたのは4番で主将の小口君と5番の矢吹君だった。それでも東洋は1点をリードしている。このまま9回の裏を押さえれば待望の1部昇格である。

しかし・・・・

9回の河北君はリリーフに立った8回とは別人のようになっていた。先頭の中前君に対してはストライクがまったく入らない。外角高めの遠いボールが4つ続いて四球。続く森下君へも3球続けて同じようなボール。1球だけストライクが入ったが四球となって無死1・2塁となった。8回にはあれだけ堂々たる投球を見せた河北君。絶対王者と言われた大阪桐蔭に挑む甲子園での準々決勝とここで負ければまたしても2部という試合の違いによるプレッシャーだったのか。

東洋はここで木更津総合出身の1年生島田君に投手を替えた。打席には中央の丸坊主主将の北村君。さっそくバントの構えを見せると島田君のセットポジションはボークともとれる動作。すかさず北村君はタイムをかけてアピールしたが球審はそれを認めなかった。だが、それだけでも島田君に与えたプレッシャーは大きい。初球をバントした北村君。3塁寄りへの若干高いバウンドのバントを島田君はマウンドから駆け下りて1塁送球。しかしこれがワンバウンド送球。バックハンドで捕球しようとした1塁手の小口君のミットからボールはわずかに後ろにこぼれた。代走で出ていた2塁走者川波君は一気に本塁を陥れて同点。さらに無死1・3塁。

打席には昨日の昨日3安打を含む全打席出塁で4打点を挙げた石井君がはいる。昨日の7番から今日は5番に抜擢されていた。当然だが東洋の内野陣は前進バックホーム体勢。球場には1球ごとに大歓声が上がる。もう大声の応援は自粛せよというアナウンスなど全く意味をなしていない。手拍子に大歓声。石井君はボールをバットにさえ当てさえすればなんとかなるという空気が球場中を覆いつくした。そして石井君はゴロを打ち返した。その打球は前進守備のセカンドの左を抜けてセンター前に転がった。1回と3回の安打に続く中央3本目の安打がサヨナラとなる1部残留決定打となった。

その時の歓声は2万2千人で埋まった今年の早慶戦よりも大きく聞こえた。劇的なサヨナラ試合がそれを増幅させたのかもしれないが・・・・

リーグ戦12試合。順位決定戦4試合。そして入替戦3試合。19試合を戦い抜いた中央のその試合数はリーグ戦と大学選手権で戦い日本一を手に入れた亜細亜の18試合を超えている。日本一のための18試合、残留のための19試合。

その目標こそ違うが天国を目指したチームと地獄を回避したチームにその差はない。修羅場の数が作ったチーム一丸の姿。学生野球ならではの美しさがあったとボクは思う。



2022年6月22日 東都大学野球春季1部2部入替戦 第3戦(於 明治神宮野球場)
東洋
100 000 000 = 1
000 000 002x = 2
中央

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