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2022年06月13日09:20

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神宮スズメの独り言2022〜84〜美しい優勝

素晴らしい亜細亜大学の優勝だった。この試合の、いやこの大会のMVPは間違いなく生田監督だとボクは思っている。もちろん監督にそんな賞はないのだが・・・

今日の亜細亜の1番には4年生の重松君が抜擢された。ボクのスコアノートを見るとリーグ戦ではすでに優勝が決まっていた最終節の青山戦の2試合で先発していたがあまり記憶に残っていない。そしてこの大会は近大戦に出場しているが、その試合は東京ドームで行われておりボクは神宮にいたため観戦していない。

2番は昨日先頭打者だった田中幹也君。3番藤江君。4番は山下君に変わりはないが、昨日2番だった天井君は今日は7番に下がった。毎試合のように打順をいじってくる生田監督。

初回の亜細亜は上武の柴藤君の前に三者凡退。一方の亜細亜の先発青山君は1死から安打と2塁打でいきなり1死2・3塁のピンチを招く。しかし強い当たりの3塁ゴロで上武はホームを突けず、四球で満塁としたものの最後は内野ゴロに倒れた。

試合後の監督インタビューで聞いた話だ。

「昨日の準決勝は青山は使わない。だから全員の力を結集して勝ち上がってくれと選手に話していた。そしてよく準決勝を勝ちあがってくれた。」

青山君はリーグ戦では8試合に登板し6勝0敗。防御率1.40を記録した東都の最優秀投手だ。その青山君を温存するから準決勝は何とか勝てということは監督がその先の話をしなくとも全員が理解し結束したはずだ。

しかし、青山君は安打を打たれる。それはリーグ戦からそうだった。記録をひっくり返してみると8試合で58イニングを投げて打たれた安打も奪った三振も同じ55。つまり大雑把に言えば毎回ヒットは打たれるが毎回三振も奪うという投手である。それでいながら与えた四死球はたったの9。打たれた本塁打は1本だけだ。

青山君はドラフト候補ではあるが、ものすごい豪速球でバッタバッタと打者を打ち取る投手ではない。しかし点を取るのは難しいという投手だ。それを今日もいかんなく発揮した。

2回も安打を許すが無失点。そして3回、亜細亜は攻撃を仕掛ける。

試合開始前までは太陽が照り付け暑くなりそうな天候は一転、急遽雨雲が支配し始め球場が暗くなっていく。そんな中で亜細亜は先頭の草部君が安打で出塁しバントで進めると重松君に打順が廻った。そして雨が降ってくる。

すると生田監督はここで動いた。代打として河西君を送る。2年生だ。彼のことはよく覚えている。3年前の明治神宮大会。相手は優勝した中京大中京だった。河西君のいた天理のエースは当時1年生でプロ入りした達君。明治で1年生ながら春の開幕初打席で本塁打を放った瀬君もいた。中京大中京はプロ入りした高橋宏斗に中山礼都。早稲田の印出君に法政の西村君、明治の松島君もいた。そこで9回の表に起死回生の同点本塁打を放ったのが河西君だった。しかもこの本塁打はこの試合3本目だった。結局試合は負けてしまったが・・・

それだけの実績を引っ提げてさっそく亜細亜の先頭打者の代打に立った。まだ3回、重松君にとっても2度目の打席での代打だった。しかし、その代打策ははまる。きれいにはじき返してライト前に運ぶ。そしてすぐさまその河西君に代走が送られる。その代走和久本君はすかさず盗塁を決めて1死2・3塁。ここで打席には田中幹也君がはいるとレフト前に運んで一気に2点を亜細亜が先制した。

亜細亜のこの3本の安打は決していい当たりの打球ではなかった。だが、生田監督はすでにこの結果を予知していたかの如くの采配だった。当然だがその後の亜細亜打線が留まるはずはない。藤江君はストレートの四球で歩くと山下君と西脇君の連打で4−0とした。

だがその後だ。上武もチャンスを作る。4点を奪われた直後の3回裏。先頭の藤原君が安打で出ると死球で無死1・2塁。上武お得意の反撃のチャンスは三振と併殺であっさりと散った。昨日も併殺を3つも決めてピンチをしのいできた亜細亜の守備陣だ。

そして亜細亜は4回の表に2死2塁から田中幹也君が前進守備の外野陣の間を抜ける3塁打で1点を追加すると続く藤江君もタイムリーで6−0とした。

上武は4回の裏も5回の裏も青山君から安打を放つが得点には至らない。上武の1回の1死2・3塁。2回の2死2塁。3回の無死1・2塁。亜細亜があれだけ簡単に得点を挙げる中で上武はホームが遠かった。そして6回の亜細亜は代走で途中出場の和久本君がレフト線に2塁打を放つと内野ゴロで3塁に進みなんとホームスチールで1点をもぎ取るのだ。

亜細亜はただの勢いだけではない。常に走者に出れば次のベースを狙っている。単に脚が速いというだけではない。常に次の塁を狙う意識が高いからこそ起こるプレーだ。捕手が少しでもジャッグルすれば進塁を狙う。それがあるからこそ守っている側には通常以上の余計なプレッシャーがかかる。

亜細亜の選手が3塁まで進んだ時にはいつも三本間の3分の1くらいまでは投球と同時にリードを取る。少しでも投球を逸らしたならばすぐさまホームを狙うぞという姿勢だ。

生田監督がエースの青山君をあえて昨日の準決勝を温存させると公言しそれでも勝って決勝に行こうと叱咤した結果、青山君が打たれるはずはない。いや安打を打たれても失点するはずはない。もちろん味方の援護も大きかったがいつものようにピンチになっても踏ん張るという投球は見せた。8回には内野ゴロの間に1失点して完封こそ逃したが、チーム一丸となった美しい優勝だった。



2022年6月12日 第71回全日本大学野球選手権 決勝(於 明治神宮野球場)
亜細亜
004 201 000 = 7
000 000 010 = 1
上武
   (亜細亜大学は20年ぶり5回目の優勝)

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