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2021年12月27日20:54

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楕円球に夢を乗せて2021-2022〜11〜甦れ名門校

大学ラグビー選手権において燦然と輝く記録は帝京の9連覇だ。3年前の2017年度を最後にその後は明治・早稲田と続き、昨年度は関西の天理にその栄冠が渡ったのは昨日のことのように思い出される。帝京の連覇が止まってから3年が過ぎた。だがその帝京の輝かしい9連覇に次ぐ記録はといえばそれは同志社の3連覇である。

平尾さん、大八木さんという伏見工出身の選手たちが活躍した同志社はラグビーファン以外からも大きな注目を浴びた。だが松尾雄治さんがいた新日鉄釜石には歯が立たず日本選手権7連覇を許した。しかしその後彼らが神戸製鋼に進んで新日鉄釜石を破った時の涙は伏見工、同志社、神戸製鋼に関わる人達だけではなく日本中のラグビーファンを感動の渦に巻き込んだ・・・・

いやいや、思い出話が過ぎたようだ。しかし、前人未到の9連覇を誇る帝京に次ぐ成績を誇るのは同志社の3連覇であることだけは声を大にして言っておきたい。もうこのことをリアルタイムで知る人は若くとも50歳以上であろう。そうだ、3連覇は早稲田も明治も成し遂げたことはない。全盛期の関東学院ですら10年連続決勝進出を果たしているが優勝は5回、そのうち2年連続優勝が2度である。

日本最古のラグビールーツ佼と言われる慶應、その次に創部された現在の京大に続く古い歴史を誇る同志社は早慶戦より10年以上も古くから慶應との定期戦を行ってきた。そして昨年は選手権への出場権を得ながらもコロナで辞退を余儀なくされた名門同志社が今年は帰ってきたのだ。

しかし、第1試合の早明戦を観戦した観客は続々と秩父宮を後にする。祝勝会か、あるいは残念会か。もちろんラグビーをつまみに旧友たちと親睦を深めることもとても意義深いものであるし、それを否定する権利などもちろんボクは有してはいない。

だが、ボクはこの試合を見て本当によかったと思う。結果から書こう。76−24で帝京の勝ちだ。開始3分でトライ。さらに7分でトライ。12−0・・・

ともに相手の反則を奪ってタッチで地域を進めFWで押し込むスタイルからの得点だった。スクラムすら組む場面もないまま、それでもFW戦では勝ち目が薄いことを露呈した同志社。このままなすすべなしかと思われた。そしてこの段階で席を立つ人の数はさらに増えた。

しかし20分を過ぎてからのファーストスクラム。ここで同志社はスペシャルプレーを用意していた。当然押してくる帝京。押される同志社は速い球出しですぐさまスクラムの横を抜けていった。押されながらもFLはスクラムで抑え込んでいる。展開に備える帝京のバックス陣をあざ笑うようにスクラム横からど真ん中を突進する同志社。一気に相手陣内5メートル近くまでゲインした。だが、ここからはもちろん帝京のディフェンスは厚く得点には至らない。

それでも同志社のスペシャルプレーはまだあった。キックパスだ。右のスペースでゲームを運んでいた同志社は左のエンドーゾーンギリギリにキックを蹴り上げた。アメリカンフットボールであればQBの起死回生のタッチダウンパスにワイドレシーバーとコーナバックが競り合うような展開。しかし、これにも帝京のDFはキャッチに競り勝った。

用意していたプレーも通用しない同志社。帝京は30分を前にすでに40−0とリードを広げていた。しかし、同志社はもう一度キックパスを試みた。ここに駆け込んだ和田君は見事に捕球してそのままトライ。完全なワンサイドゲームと思われたこの試合で一番大きな拍手が起こった。おそらく早明戦がお目当ての人たちが送る名門同志社への励ましだったのだろう。秩父の宮に徐々にその判官贔屓の空気が流れ始める。

しかし、ここでボクが見たのは帝京の本当の強さだったのかもしれない。1トライを返された37分。この時点で帝京は安易なファウルが目立つようになっていた。だが「帝京締めていくぞ」「やることやるぞ」という声と同時に彼らは引き締まった。タイムキーパー制でのホーンが鳴ってもトライを狙ってきた。けり出して前半を終了することもできるなかで、帝京はトライを奪い返して前半を終えたのだ。

40−0から初失点し40−5。それを45−5にする意味こそが今年の帝京を支えているのだと思った。

後半も帝京が力を発揮し試合を支配した。前半の7トライに対して後半も5つのトライを挙げた。しかし、その中で同志社も3つのトライを返している。

だが、同志社は結局は完敗だった。彼らはこの試合で何を思っただろうか。帝京に対して通用しなかった。だが通用した部分ももちろんある。しかし帝京の強さは崩れないところだとボクは思う。相手に流れを渡さない力と言えばいいだろうか。

若干のほころびから失点し、それが大差試合で大勢に影響しないとしても彼らはそこにこだわってくる。前半終了直前の40−0から5点を返されたシーンがそうだった。ホーンが鳴ってロスタイムとなっても彼らはトライを奪い返した。

昨年の対抗戦での慶應戦。彼らはロスタイムにトライを奪われ、さらにキックオフボールをキープされて再びトライされた。ロスタイムに2トライを奪われて逆転負けを喫している。

同志社が強かったあの頃、彼らは新日鉄釜石には勝てなかった。だから強かったのだろう。帝京は9連覇が途切れ昨年は早慶明3校に敗れた。ラグビーにはいろいろな戦術がある。だが、どうやったら勝てるのかはどうやってきたから負けてきたのかという経験値による。同志社は今年それを経験した。今日の試合を見た人の中には釜石を帝京に置き変えて再び同志社が蘇ることを願うファンも多いはずだ。



2021年12月26日 第58回全国大学ラグビー選手権 準々決勝(於 秩父宮ラグビー場)
帝京76−24同志社

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