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2020年09月21日08:46

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神宮スズメの独り言2020秋〜4〜勝利の拍手に

ライト側外野席から声援を送る東大応援団。校歌斉唱もエールの交換も行われるが、それでも内野やネット裏にいるファンが声を出すことは禁じられている。だからこそ、できる限りの応援をしようとできる範囲の中でみんなが工夫するのだ。

第1試合に登場した明治。このチームの応援は六大学の中では最も熱狂的でありノリがいい。なんと言っても応援に振り付けがある。ただメガホンを叩いたり手拍子をしたりというレベルではない。両手を左右交互に上げたり、両手を胸の前に置いてくるくる回したり、それに腰を折る動作まで加わる。劣勢を徐々に挽回していった第1試合の明治は、座りながらもその振り付けをするファンの姿がたくさんあった。しかし本当はあの応援団と一緒になって大声で応援したいというのは今のこのご時世においては贅沢なのかもしれない。

東大を応援する人は多い。しかもそこにはOBではない人もいる。さらには東大以外の5大学出身の人すらいるのだ。

たとえ20−0で負けていても腐らず応援を続けるというのは六大学屈指である。今日の試合は前半で決まってしまった。4回を終わって8−0、しかも相手は法政でプロ志願届を出している高田孝一投手だ。それでも1塁側内野席やネット裏、さらには2階席まで東大を応援する人は多く見受けられた。

東大が安打を放てば、得点を挙げれば、そして相手を三者凡退に取っただけでもスタンドからは大きな拍手が上がる。

8点を奪われた4回裏、東大は武隈君の左中間を破る2塁打と安田君のセンター前ヒットで1点を返す。ともに150キロのストレートを狙い打った素晴らしい打球だった。5回には高田君は変化球主体の投球をしたが、それでもストレートを続けた6回に東大は2安打を放った。得点には至らなかったものの東大ファンの意気は上がる。東大における応援で一番のチャンスの時に繰り広げられる「不死鳥のごとく」。応援に駆け付けた人たちは水色のタオルを頭の上でくるくる廻す。今や高校野球でもこの応援を取り入れるチームがあるほどの盛り上がる応援曲だ。そのほかにも「東大アトム」や「さっさ」なども同様。今日も何人もの人達がいたるところでタオルを廻していた。

試合は結局10点を奪った法政が10−1で東大に勝利した。最終回、2死から安田君がこの日2本目の安打を放ったが力尽きた。

初出場で甲子園にやって来た地方の公立高校。一生に一度とばかりにあるプルスタンドから溢れるほど繰り出される応援団。そして優勝候補を相手に地方予選ならとっくにコールド負けという大差試合。それでも9回裏に死球でも走者を出そうものなら大歓声が沸き上がるのが甲子園だ。

高校野球なら学校側が少し野球に力を入れれば公立でも強豪になるケースはある。明徳の助監督を招き今やドラフト候補を抱える明石商などが顕著な例だ。しかし、東大がそのようなことになることは永遠にない。せめて今年はOBでプロ経験者という貴重な監督を招いたというくらいだ。

この井手監督は積極的に選手起用をする。選手層、特に投手陣の層が薄い東大にあってもチャンスとあらばどんどん代打を出す。選手をたくさん使い全員で戦うという姿勢が今季は見える。

試合前と試合終了後、どのチームもスタンドに向かって礼をする。ベンチの前に並んで礼を終えると、90度角度を変えてネット裏の観客にも頭を下げるのが六大学の伝統だ。だが、今年の東大にはその次があった。それから振り返り外野席にも礼をした。

今年は外野席に陣取る応援団に向かっても頭を下げたのだ。みんなで戦う。それは応援団もOBもファンも一緒に戦うということだ。昨日の開幕日に登場した4校の中でそれをやったのは東大だけ。だが、2回戦のこの日は明治もそれに追従した。熱狂的な応援を誇る明治とOBを越えたファンを持つ東大。

こんなことをしたからといって勝利とはまったく関係がない。だが、この姿勢に感銘を受ける人たちが大勢いることも間違いない。

彼等に送られる拍手が勝利の拍手となることを願ってやまない。



2020年9月20日 東京六大学野球秋季リーグ戦 第1節2回戦(於 明治神宮野球場)
法政
214 100 101 = 10
000 100 000 = 1
東大

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