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2020年04月03日07:12

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Fukushima50〜6〜仙台空港

4月から始まるTBSドラマ半沢直樹の続編の放送開始が遅れそうだ。役者にスタッフなど大勢が集まるドラマの収録はコロナ対策に反するということが原因だという。

この半沢直樹の続編は池井戸潤氏の「ロスジェネの逆襲」と「銀翼のイカロス」を原作としている。「銀翼のイカロス」は経営破たんに陥った日本航空の再建劇をモデルとしている。半沢直樹は銀行員であるため、バックアップする大手都銀と当時の民主党政権を思わせる政財界の軋轢を中心に描いているが、同じ日本航空再建を描いた小説がもう一つある。これも池井戸潤氏と同じく元銀行員である江上剛氏による「翼ふたたび」だ。

こちらは日航の再建を任された京セラの稲森和夫氏の経営力とそれに応じる若手社員をモデルとして描かれた作品だ。そしてそのメインの舞台となるのが仙台空港である。旧態依然としたナショナルフラッグ航空会社の上層部は新しい風を送り込む新会長にことごとく反発する中で、若い社員はその新しい経営の魅力に取りつかれていく。そしてその中で発生する東日本大震災。

乗客スタッフだけではなく地域住民を受け入れて空港ビルの2階に避難したものの、車や小型のプロペラ機、瓦礫などが津波で1階部分に泣かれ込み水没。逆流したトイレを懸命に掃除したり、疲弊した乳飲み子を抱えた母親に代わって自身も出産したばかりという女性社員が母乳を与えたりするなど実話を交えた展開は読者を引き付ける。



その仙台空港に行ってきた。1階のフロアにある大きな柱には3メートルの高さまで津波の水で浸かったことが記されている。その隅には震災当時の写真などが展示されているが、それはあくまで開港からの仙台空港の歴史の一幕としての位置づけでしかなかった。

空港の案内係に聞いたが、震災の展示そのものも徐々に縮小されていって現在に至っているとのことであった。

1階は到着ロビーだ。そのまま駐車場に向かう人やレンタカー利用者は出口に直行すれば背中に目がついていない限り気がつかないところにその展示はある。

逆に1階の正面から入ってくる人はあまりいないし電車利用者はこの場所すら通らない。

仙台空港はこれまでも何度か利用したことがあったが、もちろんこのコロナウイルス騒動でほとんど人がいない。お昼時にも関わらずレストランもガラガラだ。だが、ここは空港だ。日本の空港はどこもきれいだ。

かつてトイレが逆流する中で地上勤務の航空会社の女性職員が奮闘した空港だと今は誰が知っているだろう。仙台空港は国内線需要の少ない空港だ。東京への往来なら新幹線であり、仙台から福岡や札幌、沖縄に行く人がどれだけいるか。

茨城空港や静岡空港はもっとすごい。何がすごいかといえばそれがインバウンドによって成り立っている空港だということだ。中国や韓国から成田や羽田、関空に降り立つ航空機とは違い格安旅行はそれこそ茨城や静岡に到着する。そして仙台も同様だ。だが、このコロナ騒動で海外便の到着は前年比で9割減って1割ほどだそうだ。

震災の時は乗客や地域住民を救うために大きな役割を果たした仙台空港。米軍の協力もあり震災からわずか1週間で滑走路は使用可能となったとの記載があった。その仙台空港はは見事な復興を遂げ、今はコロナウイルスと戦っている。

江上剛氏の小説を読んでからは初めて訪れた仙台空港。空港内を歩くごとに小説が蘇ってくる。コロナの影響で経営に苦しむ地方空港の一つではあるが、震災から人々を守った空港として心の留めておきたいと思う。

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