陽は舞い踊る甲子園2020〜3〜最後のシートノック

もし新型コロナウイルスなどがなく、雨天順延もなければ今日がセンバツ高校野球の決勝戦だった。3月31日だ。公立高校では4月1日付で人事異動がある。21世紀枠でセンバツ出場が決まっていた福島県立磐城高校の木村保監督もその一人、人事異動が発令されていた。もちろんセンバツが行われ決勝まで進んだとしても日程順延がなければ最後まで戦えたのだが・・・

だが、センバツは中止。それどころか休校要請を受けて練習もできない状況となった。

ボクはセンバツが中止になったら昨年夏に行った東日本大震災の被災地巡りをすることにしていた。新型コロナウイルスによる東京都の外出自粛要請にたじろいだが、一人で車で行くことや東京への訪問ではなく感染者の少ない東北訪問であることから決行した。

雪で3月の中山競馬が中止となる中で29日の朝7時に柏の自宅を出たボクはゆっくり行ってお昼頃にはいわき市に入った。みぞれ交じりの雪が降る中だ。

その日、磐城高校ではセンバツ出場選手へのユニフォーム授与式が行われた。甲子園のベンチ入りメンバーは18人。磐城高校の部員数は19人。背番号は19と20が追加され女子マネージャーの遠藤百恵さんも20番のユニフォームを受け取ったと30日の福島民友も福島民報も報じている。

昨日の朝、ボクは磐城高校を訪れた。もちろん関係者ではないし校内に入れるわけではない。校門の横には各競技の全国大会出場を祝うボードが掲げられていたがそこに野球部の名はなかった。

裏の校庭に回ればバックネットがありその後ろには10段くらいの観客席も見える。この日磐城高校野球部の選手たちは甲子園用のユニフォームを身に纏い木村監督の最後のシートノックを受けたはずだ。前日の雪とは打って変わった青空の下で、夏への決意を新たにしながら・・・

福島から夏に甲子園に行くには高い壁があるが、真新しいユニフォームを真っ黒にしながら受けた昨日のシートノックを心に刻んで夏に向けて頑張ってほしいと思った。