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2019年12月08日20:48

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Jリーグとラグビーと

93年のJリーグ発足以来史上最高観客数だったそうだ。1位横浜と2位東京との直接対決、しかも両チームに優勝の可能性があり、なおかつこの両チームにしか優勝の可能性がないという最終節。

ただ両チームに優勝の可能性があるとは言っても勝った方が優勝ではない。東京が優勝するためには4点差以上勝利だけという横浜には非常に有利な条件であったが・・・・

それでもスタジアムは盛り上がった。当然のように東京は試合開始から攻撃的に来た。永井がGKと1対1となる場面もあったが横浜の守備は集中していた。そして徐々にボールを支配し始めるとティラートンのエリア外からのミドルシュートは東の差し出した脚に当たって高く弾むGKの頭を越えてゴールに吸い込まれた。

タイ人初のJリーガーであるティラートンのゴールにはタイでも大歓声があがっただろう。

そして4点差以上の勝利が求められる東京にとっては不運な、そしてそれだけに心を折られる失点だったのかもしれない。その後、横浜は前半終了間際にエリキのゴールで2点をリードした。

共に優勝の懸かった最終戦だ。激しい当たりに選手たちはエキサイトしてくる。だが、ボクはここで思った。ラグビーのワールドカップ。多くの日本人の心をつかんだラグビーの魅力はなんだろうか。ボクのラグビー経験のある友人の言葉を思い出した。

「あの程度の接触プレーで脚の骨が折れたがごとく泣き叫び、のたうち回って試合時間を無駄にする選手はラグビーなら速攻でクビやで」

そうだ、ラグビーワールドカップで目覚めた日本人は倒されても倒されても立ち上がるラグビーに魅了させられた。ドリブルしてゴールへ向かう選手に対して後ろからタックルすればサッカーなら一発レッドだ。だがラグビーではそれは当たり前のプレーで反則でも何でもない。

もちろん競技が違う以上、単純な比較はできないだろう。だが、必要以上に痛がって審判に相手の反則をアピールするようなプレーが散見されるサッカーはラグビーに慣れてしまった日本人にはどう映るだろうか。

ボクはこの試合はそれがとてもよく表れていて素晴らしい試合だったと思う。

熱くなって選手同士がもみ合いになるような場面はたくさんあった。主審もファウルをあまり取らず流すことで試合にリズムを与えようとしていた。このような緊迫した試合で細かいファウルまで取り出したら試合は流れずカードが10枚以上も出てジャッジがゲームコントロールをできなくなる。それを制御したのは主審であると同時に選手たちだった。

横浜の守備の強さ。得点王でありながら必ず右サイドの守備には顔を出す仲川。チアゴ・マルチンスは壁になった。エリアを飛び出して守備をする攻撃的GKの朴一圭も効いていた。後半は永井とのエリア外での接触プレーで得点機会阻止というファウルという判定で一発レッドとなったが、それでもラインを高く保つ横浜のGKとしては充分に機能していた。

さらに言えばボクはこの朴一圭に一度はイエローを出したこの主審がラインジャッジに確認してレッドに切り替えたのはいい判断だったと思う。

東京の永井はひとりで奮闘していた。4点を取るべく躍動した東京のワントップは何度もチャンスを作ったし、そのたびに厳しいマークを受けた。テレビ観戦だったボクにはそのたびにテレビでアップに移される彼の表情に感じるものがあった。

結局横浜は朴一圭の退場後も1点を加えて3−0で勝利し15年ぶり4回目の優勝を遂げた。鹿島ファンのボクであるが心からおめでとうと言いたい。本当に今年の横浜は強かった。

だがそれ以上に心に残ったのはこの試合がとてもフェアだったことだ。自分に不利な判定を受けた選手は審判に食い下がり相手選手を小突いたりするのはよく見かけるシーンだ。ましてや優勝の懸かったこの試合。しかし、そのような場面になっても両チームともに興奮した選手を互いに制して落ち着かせていた。素晴らしいと思った。

ジャッジに対してサッカーのサポーターは自分にとって不利となると容赦しない。サッカーの審判の有名な言葉がある。

「審判のせいで負けたと言われたことは何度もある。それが事実なら審判のせいで勝ったチームもあるはずだが、そう言われたことは一度もない」

つまり負けた時はジャッジのせいにするというのは世界のサッカーファンの常識なのかもしれないが、今年の日本人は違う。

ラグビーで自己犠牲の精神や相手へのリスペクト、ノーサイドの心を学んだ日本人はこのサッカーの決勝戦とも言えるリーグ最終戦にその素晴らしさを見せたような気がする。それは選手も観客もだ。

4点差で勝たなければならない東京は3点差で敗れた。それでもあえて言わせてもらいたい。素晴らしい決勝戦だった。それは試合内容も観客の態度も含めてだ。



2019年12月7日 Jリーグ第34節(於 日産スタジアム)
横浜3−0東京

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