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2019年01月20日17:01

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襷の力2018-2019〜5〜希望の襷

宇賀地選手が大声で声を掛ける。ラストだ。頑張れ。表情は笑顔で溢れていた。

真岡東中の永島君が息も絶え絶えに襷を運んでくる。栃木県チームは23位を維持したまま永島君からアンカーの宇賀地選手に襷が渡った。よくやったと声を掛けると宇賀地選手は永島君の背中を2度叩いてスタートしていった。

栃木県チームの最終成績は25位だった。

NHKのアナウンサーはこの模様を言葉にして伝えたがその選手名を発することはなかった。NHKからすればもう宇賀地選手は注目のランナーではなかったのかもしれない。

都道府県対抗男子駅伝。2区と6区は中学生区間だ。距離は3キロ。箱根駅伝や実業団駅伝に出場する選手にとっては息すら乱れずに楽に走るであろうこの距離を彼らは筋肉の叫びや心臓の悲鳴と戦いながら走る。襷を地元の憧れの大先輩に渡す瞬間すら意識のかなたかもしれない。

実業団や大学生の選手の状態は当然ピークではない。お正月に駅伝を走った選手たちはそのあとのクールダウンの時期であり、次に目指すレースへの調整に入っている。この日程的な問題もあって都道府県対抗駅伝では男子の歴史は女子よりずっと短い。

しかし、箱根駅伝やニューイヤー駅伝では見られない勝負以外のチームワークを見ることができるのがこの駅伝の魅力だ。


今年は福島県が優勝した。初優勝であり東北初の優勝でもあった。高校生は学法石川の選手で占められ大学実業団の選手もそのOBたち、中学生のレベルの高い走りを見せた。監督は会津高校から駒澤に進み主将を務めて一時代を築いた安西秀幸さん。大学では宇賀地選手の2年先輩だ。

大学社会人の選手たちは万全ではないながらもそれなりの走りを見せた。

順大の塩尻選手や東海の舘澤選手はチームを一気に上位に押し上げた。東洋の往路優勝の立役者の相澤選手は2位以下を引き離して優勝のゴールテープを切った。

岡本選手は17人抜きで通算100人抜きという目標を上回り112人抜きという記録を作れば、服部勇馬選手はアンカー区間で18位から7位入賞を果たした。

昨年の2区の中学生レコードを叩き出した福岡の石田君は農大二高に進み群馬県代表として1年生ながら出場し区間3位で塩尻選手が作った流れをつないだ。

うまくいかなかった選手もたくさんいるだろう。だが、この駅伝は勝利至上ではない。将来の希望をつなぐ駅伝だ。

彼らがつないだのは希望の襷。そこには母校の誇りもなければ仲間の汗も染み込んではいない。だが、来年につながっている。将来につながっている。そして後輩に受け継がれる。

息詰まるような駅伝を観てきたこの時期のボクには心温まる駅伝である。


2019年1月20日 第24回全国都道府県対抗男子駅伝(広島平和公園〜宮島口往復7区48キロ)
1位 福島県
2位 群馬県
3位 長野県
4位 広島県
5位 長崎県
6位 鹿児島県
7位 愛知県
8位 福岡県

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