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2021年10月13日12:58

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「染付 椿花文 輪花形小皿」

 今回は、「染付 椿花文 輪花形小皿」の紹介です。


写真1: 表面

写真2: 裏面

写真3: 裏文様の拡大
     鳥が2羽飛んでいる部分



生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期(1670~1680年代)
サ イ ズ : 口径;13.4cm 底径;6.9cm





 なお、この「染付 椿花文 輪花形小皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」において既に紹介しているところです。

 つきましては、次に、その時の紹介文を再度掲載することをもちまして、この「染付 椿花文 輪花形小皿」の紹介とさせていただきます。





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             <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー205 伊万里染付椿花文輪花形小皿   (平成27年6月1日登載)
      

 椿の花を若干デフォルメし、それを見込みいっぱいに描き、その花の外側に8枚の葉を巡らしている。

 実に大胆なデザインであり、現代にも通用するようなモダンさを有している。

 造形は、口縁を輪花とし、比較的に薄作りでシャープである。

 裏文様も、中期古伊万里によく見られる画一的な繋ぎ唐草文等ではなく、鳥が2羽飛んでいるところを描くなど写実的であり、古九谷様式に見られるような古格を有している。

 

  江戸時代前期(1670〜1680年代)  口径:13.4cm 高台径:6.9cm



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*古伊万里バカ日誌134 古伊万里との対話(椿文の小皿)(平成27年6月1日登載)(平成27年5月筆)   

 

登場人物
  主人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  椿   (伊万里染付椿花文輪花形小皿)

 

・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、今日はどの古伊万里と対話をしようかと「押入れ」内を捜していたら、先日、某ブログに登場していた古伊万里とほぼ同じ物を発見したようで、さっそく引っ張り出してきて対話をはじめた。

 

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主人: 先日、といっても二か月半ほど前になるが、「酒田の人」さんが開設している「貧乏サラリーマンの古伊万里」というブログに、お前とそっくりな古伊万里が登場していた。今、「押入れ」内を捜していたら、お前を発見したので、「我が家にも同じ物がありますよ〜」と言いたくなって登場してもらった。

椿: 今、発見したんですか! 私の存在など、すっかり忘れてしまっていたんですね(><) ご主人は私を随分と前に買ってきたんでしょうか・・・・・。

主人: 悪い悪い。我が家にお前がいたことをすっかり忘れてしまっていたんだ。お前のことを買ったのは5年程前のことだから、そんなに古い話ではないんだけれど、忘れてしまっていたんだよね。記憶力が悪くなったんだね・・・・・(-_-;)

椿: どうせ取るに足らないような古伊万里なので、ご主人の記憶にも留まらなかったんでしょう(涙)。

主人: いやいや、取るに足らないような古伊万里ではなさそうだよ。
 私はその本を持っていないので分からないんだが、「坂田の人」さんのブログに依ると、別冊太陽の「染付の粋」(1997年発行)という本の67ページにお前と同手の物が紹介されているらしいね。
 私も、お前を買う時点では、お前は取るに足らないものではないな、何か私の琴線に触れるものがあるな、と感じたんだろうね。まっ、この本にならって表現すれば、「粋」を感じたのかもしれないね。
 ところが、買ってきて「押入れ」に入れてそのままににしていたら、すっかり忘れてしまったんだ。記憶力が低下してしまったんだね。年は取りたくないもんだね・・・・・(><)

椿: そうですか。そういう事情で忘れ去られたんですか。それを聞いて安心しました。
 ところで、私は何時頃作られたんですか?

主人: 前記の別冊太陽の「染付の粋」という本では、1670〜80年代(延宝時代)に作られたと紹介されているらしいね。
 私としては、5年程前に買った時点では、延宝よりももっと新しく、元禄の頃かな〜と思ったんだよ。と言うのも、その時点では、お前は、それよりもずっと前の時点に比べて、かなり安くなっていたものだからね。コレクターの心理というのは変なもので、値段が高ければ「優品、古い」と感じるし、値段が安ければ「駄品、新しい」と感じてしまうんだよね。

椿: そんなものですか。それじゃ、骨董屋さんは、値段を高くして売れば、より多く売れるし、より多く儲かるということになりますね。

主人: そのことは、骨董屋さんに限らず、ある程度は、すべての商売に言える一面の真理ではないかと思うね。店構えを立派にし、ディスプレイに工夫を凝らし、商品をいかにも高級なものに仕立て上げれば、売り上げも伸びるし、利益も上がるのではないかね〜。

椿: 確かに、それは言えますね。ただ、物がその高い値段に見合った良い物であればの話ですね。
 でも、最近作られた商品についてなら、その良し悪しの判断はわりと簡単に出来ますが、古美術品の場合は難しいですね。

主人: そうだよね。古美術品の場合は、買う側にも、その商品の良し悪しを判断するだけの高い鑑賞眼、鑑識眼が求められると思うね。値段にとらわれず、物の良し悪しを判断する力が求められると思う。ただ、古美術品の場合は、一流の古美術店に行けば、値段は高いが、質の高いものが陳列されている場合が多いので、「骨董は足で稼げ」と言われてはいるが、あちこち動き回らなくとも良い物が買える可能性が高いかな。

椿: ところで、私には椿の花が見込みいっぱいに描いてあるんですが、古伊万里には、椿を描いてある例は多いんですか?

主人: 結構あるね。
 ここで、椿文の話からはちょっと離れるんだけど、先述の別冊太陽の「染付の粋」という本のコラム欄に、大橋康二氏が、「延宝は脱中国磁器の記念すべき時期であると言える。もちろん、全く中国磁器の影響が消えたわけではないが、少なくとも日本的意匠が主となり、和様化が定着したと言えよう。」と書いているらしいんだね。
 なお、私は、このシリーズの「古伊万里バカ日誌」の「120 古伊万里との対話(椿文の小壺)」の中でも言ってるんだが、椿は日本原産ということもあって、万葉の昔から日本人に愛されてきているんだね。特に、江戸時代になると、二代将軍徳川秀忠が椿を好んだため、権力者の庇護をうけるようになり、武士のみならず町人にまで愛されるようになったらしい。また、将軍のみならず、加賀、肥後といった大名や京都の公家などまでが好んだため、庶民の間でも大流行し、沢山の品種が作られたんだとか。とりわけ、近世には茶花として好まれたこともあって、多くの園芸品種が作られようになったらしいね。
 このように、椿の普及とともに、椿は日本原産でもあるので、古伊万里の和様化にかなり貢献したのではないかと思っているんだ。また、そんな経緯もあってか、古伊万里には椿の文様は多いんだよね。



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