mixiユーザー(id:236743)

2019年12月13日20:17

66 view

「黄金(きん)の日本史」

 「黄金(きん)の日本史」(加藤 廣著 新潮社 2012年5月20日発行)を読みました。


 この本の「はじめに」には、次のようなことが書いてありました。



 「日本史が苦手」という人たちが多いと耳にした。

 「こんな面白いものは世の中に滅多にあるものじゃない」

 と信じている時代小説家としては、聞き捨てならない話だった。

 「一度ボクらの使う教科書を読んでみてください。うんざりしますから」

 若い人にそう言われ、早速、何冊かを手にしてみた。

 それは、老生が大学受験の時に学んだ教科書や参考書の三倍から五倍もあろうかと思われる、雑知識がすし詰めになった本であった。

 そこには、歴史を生きた人間の、呼吸も、息づかいも全く感じられなかった。

 これはもう、「歴史とはなにか?」という出発点の間違いである。文部科学省は、歴史を、ただの「暗記の学問」とでも勘違いしているのではないか?

 歴史は英語でヒストリー、フランス語でイストワールという。

 英語の「ヒストリー」の冒頭の「HI」は、呼びかけの、ハイ、ヘイと同じで、コーリング・アテンション(注目を呼びかける)の意味である(『コンサイス・オックスフォード・デクショナリー』)。その接頭語の後は、まぎれもないストーリー(物語)そのものである。

 つまり、併せると「注目に値する物語」となる。

 フランス語のイストワールは、もっとふるっている。

「[鮖法廚箸いμ語の次に、「⊃箸両縅叩廖岫作り話」という訳まである(『スタンダード仏和辞典』)から、思わず噴き出してしまう。

 さすが、鈴木信太郎、渡辺一夫といった、かつての洒脱な仏文学者たちの編集である。断然ユーモアがある。

 どちらにしても「おぼえる学問」ではないのである。

 といったわけで、お節介な老作家は、

「では、面白い歴史の本を書いてみよう」

 と、思い立った次第である。それには───

「なにか一つの柱を立てて、それにまつわる話にしよう。そうすると話の筋が一本通り、物語がよく判かるのでは───」

 それが「キン」である。

 この本の中では、俗に言う「おカネ」の「金」と区別するため、鉱物としての金を「キン」と片仮名書きにする積もりである。

 では、なぜキンが話の筋になるのか?

 それは「財の代表」であり、その集まるところが「権力と栄華の象徴」だからである。

 その結果が「注目すべき物語」になるのだ。





 また、表紙の裏面には、この本の宣伝文句として、次のように書かれていました。

 



歴史の主人公は黄金である。これを手中にするための覇権争いこそが日本史なのだ───金という覗き窓から定点観測すると、歴史教科書の生ぬるい嘘が見えてくる。ジパング伝説がどんな災厄を招いたのか、秀衡や秀吉の金はどこへ消えたのか、なぜ現代日本の金保有量は唖然とするほど低いのか───。歴史時代小説界のエースであり金融エキスパートでもある著者が、為政者への批判を込めて綴った比類なき日本通史。

 



 以上のように、この本は、「はじめに」や表紙の裏面に書かれた宣伝文句にありますように、「金(きん)」を柱にした日本史の通史になっています。

 ただ、普通の日本通史ではなく、エッセイ集といった形でもあり、内容的には経済史という面も有しています。

 著者の、長年にわたって蓄積された豊富な歴史知識に裏打ちされて書かれた内容の本で、気軽に読める内容でもあります。

 大変に面白い本です。是非、お読みすることをお薦めします。



追記: 先日(11月15日)、「家康に訊け」を紹介した際、或るブログ友の方から、

 この本には、「家康の本拠地だった三河地方は、武田の甲州金山や織田の美濃金山のような、米麦以外の鉱物資源に恵まれていない」とありますが、美濃には金鉱山はおろか銅、鉄鉱山もなく、鉱物資源貧乏です。腐るほどあるのは石灰石。太古は海の底だったんです。
 織田の財布は、尾張熱田湊の交易です。美濃を必死に攻略したのは、戦略上の最重要地だったからにすぎません。美濃は今も昔も貧乏国です。

というような趣旨のコメントが寄せられました。

 それについては私も同感でしたので、本当に美濃に金山があったのだろうかと、その点に注意して読み進めました。 

それについて、この本では、次のように書かれていました。



「 最後の要因は、やはりキンである。信長はキンの産出国・美濃の斎藤道三の娘を妻に貰い、その妻の実家を奪って自分のものとした。これで懐にグ〜ンと余裕ができた。

 そこに技術革新が加わった。信長の時代には、

  キン粉の採取から

  キン鉱石銀鉱石の発見へ

という新たな動きがあった。キン鉱石を採石し選別して、「灰吹法」という最新技術を用いて精錬する、その形が確立していった時期である。金山銀山もどんどん増えていった。

 一時、信長が天下を握りかけたのもそのお陰である。

                       (P.101) 」





 この本に依りますと、美濃に金山はあったことになりますね。

 でも、それは、とっくの昔に枯渇してしまい、今では話題にも上らないということなんでしょうか、、、?

 私の住んでいる所でも、少し山奥にでも行きますと、「昔の金採掘跡」というような場所がありますね。そのような所は、とっくの昔に採りつくされ、今では、せいぜい、小さな立て看板がある程度で、かつては金が出たことの名残を示している程度ですものね。














3 5

コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月14日 10:00
    あみさん

    イイネをありがとうございます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月14日 16:26
    青麗さん

    イイネをありがとうございます。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月14日 19:23
    私学生時代は日本史が一番好きな教科でした。でも暗記の教科だったなと思います。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月14日 19:44
    > mixiユーザー 

    そうですか。蜆子さんは、学生時代には、日本史が一番好きな教科でしたか。
    きっと、蜆子さんは、読書家ですから、教科書だけでなく、歴史に関する、歴史を生きた人間の呼吸や息づかいも感じられるような物も併せて読まれていたんでしょうね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2019年12月15日 21:25
    きえさん

    イイネをありがとうございます。

mixiユーザー

ログインしてコメントを投稿する

<2019年12月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    

最近の日記