新潟県内バス路線のCOVID-19関連動向(5/16時点)ほか

まず、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による県内バス路線への影響から。

新潟交通は15日、昨年度決算の短信をリリースしました。
http://www.niigata-kotsu.co.jp/ir/pr_docu/r020515_tanshin.pdf

運輸事業での売上高は、前年度に比べ5.6%減。
一般乗合バス･高速バス･貸切バスの各部門とも軒並み減収となり、特に一般乗合バス部門では下越地区中山間地だけでなく新潟市域においても利用者が減少したとのことです。
この理由について、｢消費増税後の出控えに加えて新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛等｣の影響を挙げています。

新潟市域での利用者減少は、新潟交通が先日リリースした｢路線別ご利用人数｣でも明白で、今年3月の利用者数(新潟市BRT･新バスシステム対象路線)は前年同月に比べ約23.9%減となっています。政府による緊急事態宣言が全国に発出され、臨時休校が続いた4月はさらに厳しい値となることが予想され、BRT･新バスシステムの今後(特に次期運行事業協定の更新)においても少なからぬ影響が及びそうです。
http://www.niigata-kotsu.co.jp/~noriai/passenger/data.html

新潟交通自体も、連結純利益が前年度に比べ28%減となったほか、売上高は6%減、営業利益は29%減に。来年3月期の業績予想も未定となっており、今後予想される第2波･第3波の感染拡大状況によっては、さらに厳しい経営を強いられることになります。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59179230V10C20A5L21000/

自家用車･自転車など私的交通の利用が奨励される｢逆風｣も加わり、新潟市でも｢交通崩壊｣が現実のものとなる可能性があります。行政だけでなく我々利用者･市民も、ウイルスと共存する前提で地域公共交通を維持させる方策を考えていかねばならないでしょう。



さて、政府の緊急事態宣言が一部の都府県を除いて解除されたことを受け、新潟県内を発着する各社の県外高速バス路線や県内の観光路線にも動きがみられました。

県外高速バスでは、桜交通の｢キラキラ号｣が運休期間を5月31日発便まで延長(13日)。
https://www.hotdog.co.jp/news180.html

ジャムジャムエクスプレス｢JAMJAMライナー｣の関東〜新潟便は、関東発を6月3日まで、新潟発を6月4日までそれぞれ毎日運休。以降の6月は関東発が月〜水曜日、新潟発が火〜木曜日を運休としています。
https://jamexp.jp/infomation

新潟交通と山交バスが共同で運行する新潟〜山形線は、山交バスが6月1日から全便の運行を再開すると発表しています(15日)。
http://www.yamakobus.co.jp/new/IMG/2019-unkou-info/unko-jyohou.pdf

アイ･ケーアライアンスが新潟市西蒲区で運行する｢にしかん観光周遊バス ぐる〜ん号｣は、運休期間を31日まで延長しています。
http://www.izumi-group.jp/news/?id=119



最後に、COVID-19関連以外の動きから。
旧聞となりますが、津南町は｢津南町地域公共交通網形成計画｣を3月に策定し、先月21日付でweb上に公開しました。
https://www.town.tsunan.niigata.jp/soshiki/somu/moukeiseikeikaku.html

素案の内容は、パブリックコメントの段階にあたる2月11日付拙稿｢新潟市長、BRTを計画縮小する考え(ほか)｣でも触れております。

計画期間は、来年度から2024年度までの5年間。
目標達成に向けた施策として、路線バスや予約型乗合タクシーの再編(2021年度以降実施)などが挙げらえており、このうち南越後観光バスの運行路線については以下の方向性が示されています。

・十日町〜中里〜津南線と森宮野原駅〜津南〜清津峡〜湯沢線(急行)は、現状維持
・津南小学校〜津南病院〜津南駅〜鹿渡新田線は、日中の運行のあり方を検討
・津南営業所前〜源内山線は、スクールバスと統合(日中は乗合タクシー)
・ほかの各線は、朝夕のみ運行(日中は乗合タクシー)

これらの施策が実行された場合、同社津南営業所管内の路線は幹線ルートを除いてほぼ全線が平日朝夕のみの運行となります。町内の人口減少･過疎化や運転士不足などを考えるとやむを得ないのでしょう。一方、趣味的な目線でみると、管内路線の｢乗りバス｣活動は時間的に大きく制約されることになりそうです。