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2019年11月23日11:25

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頸城バス富岡線の武道館乗り入れと西大通りのバスレーン縮小

今月第2・3週に報じられた、新潟県内のバスに関するニュースから。

頸城自動車では、12月1日より上越市内の富岡線【6】で経路変更が実施されます。
この日、戸野目新田の上越総合運動公園内にオープンする謙信公武道館(新潟県立武道館)の利便性向上が目的で、同武道館構内にバス停を新設して乗り入れるものです。
なお、始発便1往復に限り武道館を経由しないほか、12〜3月の休館日(毎週火曜日など)には構内に入らず、時間調整のため付近を寄り道するだけとなる模様です。
http://www.marukei-g.com/files/libs/2471/201911141503357966.pdf

本件に関しては、上越市地域公共交通活性化協議会(9月30日開催)の承認が得られています。配布資料には新設経路の詳細図も示されており、会議録にも経路に関する質疑が記録されています。
https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/kotsu/bus013.html



今月22日付の新潟日報によると、新潟市の西大通りで平日の朝夕に実施されているバス専用レーンが25日から縮小されるとのことです。新潟交通のメイン路線である西小針線【W2】などの経路となっている幹線道路です。
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20191122508790.html

このうち、朝に実施されている東行(古町方面)車線は現在の「専用」から「優先」に縮小。夕方に実施されている西行(内野方面)車線はバスレーン自体を廃止。実施区間(中央区学校町〜西区寺尾西、約7km)の延伸・短縮はありません。
西大通りでは2018年3月に西区の約1.4kmでバスレーンの廃止が実施されており、今回は2度目の規模縮小ということになります。
https://www.city.niigata.lg.jp/chuo/torikumi/jichikyo/kaigi_kaisai/r1kaigi_chuo/chiikic_r105.files/R105_h4.pdf

本件は、同市中央区と西区の各自治協議会において実施の報告がされています(中央区は9月27日、西区は9月27日)。会議録が既に公開されている中央区では、現状でも朝の東行車線は専用レーンを含めた2車線とも交通量が多く、仮に専用レーンに侵入する一般車を全て取り締まったとしても、残る1車線で一般車を処理しきれないという主旨の発言が出席の警察担当者から出されています。
https://www.city.niigata.lg.jp/chuo/torikumi/jichikyo/kaigi_kaisai/r1kaigi_chuo/chiikic_r105.html

ふと思えば、2018年のバスレーン短縮においても今回と同じような主旨の説明が警察側から示されていたようで。「守られにくい交通規制については見直していこう」と。当時の西区自治協議会での会議録を眺めると、そうした雰囲気を感じ取ることができます。
https://www.city.niigata.lg.jp/nishi/torikumi/jichikyogikai/kako/h29/20170512184559501.html

確かに、西小針線の利用状況に勢いがあった1970〜80年代と比べると、周辺地区の都市環境は大きく変わりました。道路網では、この間に国道402号線バイパスや国道116号線新潟西バイパスの開通、主要地方道新潟燕線(県道44号線)の整備などが進みました。中央区「新潟島」の中心市街地は衰退し、西区の既存市街地は成熟し、住民の高齢化が進行。新潟西バイパス沿いで商業集積が進んでいます。そうした中で通行量が増大する一般車両を1車線だけに押しとどめては西大通りがパンクしてしまう、という論理もわからなくはありません。

しかし、車社会がもたらすさまざまな弊害への反省から、地方都市においても公共交通の復権が期待されるご時世。新潟市に限れば新バスシステム・BRTの暫定開業を契機に、公共交通優先の思想が市民の間に芽生え、根付くことのできるチャンスであり、バス専用レーンはそのための「武器」ともなりうる存在なのですが…。そこに「守られにくい交通規制については見直していこう」を持ち込むのは、あまりに情けないのではないでしょうか。

平日朝における西大通りが機能不全の状態であったとしても、西区全体の道路網を見直して国道402号線バイパスや新潟西バイパスなどに一般車を誘導させる規制を採用したり(なるべく西大通りなど東西軸のバス通りに進入させない)、パークアンドライドの活用などで一般車の通行量自体を抑制させるなど、対処の策はいくらでもあります。長期的には立地適正化計画の運用で、公共交通沿線軸への都市機能誘導を着々と進める必要もあります。

そもそも容量が制限された一般車線で渋滞が生じることにより、専用レーンで速達性・定時性に勝るバスの優位性が高まり、自家用車利用からバス利用への転移を促すことこそ、バス専用レーンの目指すところのはずではないのでしょうか。

また、バスレーン区間を走行する路線バスの定時性が「ある程度確保されている」としていますが、新潟交通では近年「時間通りに走る」バスへの取り組みを進めており、これまでの運行実績等をダイヤ編成に反映させています。従って、バス専用レーンへの一般車進入への取り締まりが徹底されれば、走行速度の向上により所要時間の短縮が見込めるでしょうし、徹底されなければより実態に即した所要時間がダイヤに反映されることになるでしょう。ですので、バスの定時性が確保されていることは、バスレーン縮小の理由になりません。
http://www.niigata-kotsu.co.jp/~noriai/ontime/

参考までに、最新(今年9月分)の西小針線での朝ラッシュ時間帯の目標達成率(遅れ3分以内)は78.6%。
http://www.niigata-kotsu.co.jp/~noriai/ontime/files/teiji1909.pdf

そう考えると、今回も県警の対応に「小手先感」を抱かずにはいられません。
今後、BRT専用レーンの本格整備に着手する段階で、県警が「最大の抵抗勢力」として立ちはだかるのではないかとの不安が的中しなければよいのですが。

前記の中央区自治協議会で、公共交通優先の流れと矛盾するものとして出席委員(公共交通への造詣が深い)から追及がみられたことを会議録で確認できます。
ネット上でも同様の反応が示されていることと思われますが、これをより大にする必要があるでしょう。

最後に、夕方のバス専用レーン廃止にあたり、西小針線快速の夕方便運行が来春改正以降どうなるかも気になります。西行車線が2車線確保されていることを考えると当面は運行を継続するものとみていますが、全国的な運転士不足を背景に「専用レーン廃止で役割を終えた」と判断され減便対象となる可能性も全くゼロではありません。夕方便は新潟市が常時ネット上で募集している「公共交通に関するご意見・ご要望をお受けしています」や「BRT・新バスシステム改善目安箱」でも投稿者の間で争点化されており、その去就に注目する必要があるでしょう。

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