2020年01月25日 14:00開演
会場：兵庫県立美術館ギャラリー棟ホワイエ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)作曲
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第８番ト長調Ｏｐ．30-３
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第９番「クロイツェル」イ長調Op.47
兵庫県立美術館では定期的に無料コンサートが催されている。しかもスタンウェイを使うので
結構贅沢なひと時。それに相応しい曲目ではあるが「ヘビーな曲目。」(白藤さん)
今年はベートーヴェン生誕250年で、あちこちでベートーヴェンの楽曲が演奏されている。
しかしながらヴァイオリンソナタ８番は久しぶり。「シャンパンソナタとも呼ばれる」(白藤さん)
そうであるが、一見すると軽快で耳触りの良い曲。実際、本曲を「かわいい」と白藤さんは
仰ったが私は第３楽章を聴いて本曲も紛れもなくベートーヴェンの作品である事を再認識した。
何故なら後続の９番「クロイツェル」に通じるものを感じた。演奏者から言及は、なかったが
Ｏｐ．30の３曲はロシア皇帝アレクサンドル１世に献呈されておりアレクサンダーソナタと言う。
両曲は対照的なキャラクターの曲である、と云うのがお二人の見解。「この２曲ヴァイオリン
ソナタなのですがベートーヴェンはピアノとヴァイオリンのためのソナタ、とピアノとヴァイオリン
を対等に書いています。但し、８番が手を取り合って、であったのが９番ではボクシングです。
丁々発止のアンサンブルをお楽しみください。」(三浦さん)
実は白藤さんの生演奏は１回だけ２年以上前に聴いた事がある。それもヴァイオリンソナタ４番
であった。実は今回のクロイツェルはイ長調なので同主調の関係にある。
本曲、両楽器のカデンツァで始まる。Adagio sostenuteなので速く弾く必要はないが最初から
火花が散るような迫力を感じた。実は、これは序奏で、ミファが繰り返し出て来てイ短調に転調
して主部Prestoへ突入。最初はヴァイオリンが旋律、受けてピアノがアルペジオ。感覚的には
ヴァイオリンがああ言えばピアノがこう言う。ずっと速いかと思えばいきなりTempo�気�Adagio
全くジェットコースターである。如何せん当公演１時間と切られており、繰り返しが全て
省かれた。
第２楽章はベートーヴェンのライフワークと言うべき変奏曲。しかし長大である。ここにも
「対話」があり、尽きない楽聖のアイディアに感心。
終楽章はタランテラ。元々はタランチュラという毒蜘蛛が語源のイタリア舞曲。タランチュラは
自身の身を守る為に毒を持ったトゲを放出する。この毒を抜く為には踊り続けなければ
ならないという俗説があり、そこから。ベートーヴェン中毒の私には心地良い軽快な演奏で
踊りたくなるような気分であった。演奏者にはPrestoの難解な曲。
この２曲、演奏者に負担大で会場入りするまでアンコールがあるとは思えなかったが、
アンコール
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)作曲
君を愛すＷｏＯ．123
原曲はテノールとピアノのための歌曲であるが、今日はヴァイオリンとピアノで。
まさかのスーパー・オール・ベートーヴェンプログラムである。
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