２曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第20番Ｋ．466。モーツァルトは生涯600曲を書いたが短調は
30曲だけ。ピアノ協奏曲に至っては本曲と24番の２曲だけ。しかしながらＫ．466の演奏頻度は
少なくない。私も３回目の生演奏である。
モーツァルトの短調に特別な意味を見出す議論は、よくある所だがＫ．466は自身初めて
予約演奏会の為に作曲した曲。初演は大成功であった。
出だしはオーケストラだが、おどろおどろしい。
聴いていて思い出したのはドン・ジョヴァンニＫ．527。序曲の曲調が全くこんな感じ。と言うのは
同じニ短調で書かれている。モツレクもそうだ。何れも死者が関わる。
第2主題で長調に転調して息が抜けるがソリストが再現すると冒頭の感覚が戻る。情感的な
旋律だが寧ろ酒井さんは静かに奏でていた。
カデンツァだがＫ．466はモーツァルト自身のカデンツァが残されておらず、ベートーヴェンの
カデンツァが有名。と言う訳で出演者から言及はなかったが、サンドイッチした両曲とも関連が
ある。
「ベートーヴェンはモーツァルトを敬愛していて弟子に付きたかったのですがボンから
ウィーンに出て来た時は既に亡くなっていた。ゆえにハイドンに付いた。モーツァルトの精神を
学ぶ為に。」(指揮した大山平一郎さん)オマージュと言うべきカデンツァ。
第２楽章は変ロ長調に転じてロマンス。一転する。
「モーツァルトは何をさせてもエレガンス」(酒井さん)
実は、この第２楽章の一節を昨夏の「のだめ」で聴いた。酒井さんのソロで。
第３楽章は疾風怒濤。しかし再びのベートーヴェンのカデンツァを挟んでニ長調に。次第に
酒井さんの演奏も熱を帯びてきた。華やかに終曲。
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