今夜は
ロベルト・シューマン(1810-1856)作曲
弦楽四重奏曲第３番イ長調Ｏｐ．41−３
演奏：ロータス・カルテット
Ｖｎ１：小林 幸子
Ｖｎ２：藤森 彩
Ｖａ：山𥔎 智子
Ｖｃ：斎藤 千尋
何だかんだでロベルト・シューマンは聴く機会がある作曲家で先月はパピヨンＯｐ．２と
幻想小品集Ｏｐ．73を聴いた。
昨年３月にベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲ツィクルスが松方ホールで催され、
その時に買った。本盤は2003年の収録で現在とはメンバーが異なる。
今年はロベルト・シューマンの妻クララが生誕200年である事をマイミクのロベルトさんに
教わった。同時代、クララ・シューマンは人気実力を兼ね備えたピアニストとして
ロベルト・シューマンよりももてはやされた。それは当人にとって面白くはなかったろう。
先に家に帰ってしまいハイドンやベートーヴェンの弦楽四重奏曲の研究に勤しむ。
その成果がＯｐ．41の３曲なのである。
３番は生演奏を聴いた事がある。岡山潔弦楽四重奏団のベートーヴェンツィクルスの内の１回。
昨年10月に岡山潔さんが亡くなった。音楽監督を務められていた神戸市室内合奏団の
演奏会場で見かけて何となく体調が悪そうだと感じたが。その時の曲目がシューマンの
交響曲第１番「春」であり、会場が松方ホールであったのを思い出した。生演奏を聴く機会が
永久に失われた。
最初、ラ〜レ、と始まるが、これは妻クララを意味するとか。これが動機で、Andanteの序奏から
Allegro molto moderatoの主部へ。第２楽章スケルツォ第３楽章緩徐楽章はベートーヴェンを
踏襲した流れながら、スケルツォが変奏曲となっている。緩徐楽章はロマンティック。
終楽章は、ただ一度の生演奏をはっきり覚えている。vivaceな演奏。こんな突き抜けた感覚
は何かと言えば、このＯｐ．41の第１番で提示された鬱屈からの「解放」である。様々な呪縛、
くすぶった思いから解かれてシューマンは「自由」を得て、傑作を次々と世に送り出していく。
ロマン派の巨星ここにあり。
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