マジックワード２

前回の続きです。

３　監査があって忙しかった。

シチュエーションを箇条書きで述べます。
・ある会社の神奈川支社は、教育施設を持っている。
・課長に昇任した人は、全国から全員神奈川支社で２ヵ月間、その教育施設にある宿泊施設に泊まり、教育を受ける。
・その際に、病院に行き、健康診断を受けることが必須であるが、受けずに神奈川支社に来る人もたまにいる。
・例えば、青森支社の社員が健康診断を受けずに神奈川支社まで来た場合、神奈川支社の社員が会社に近い病院に連絡し、健康診断を受ける手続きをとり、青森支社の人に病院に行ってもらう。
・その際に、神奈川支社の事務係も「どうして青森で診断してこないのか」と聞いたりする。
・「監査があって忙しかった」とのこと。
注）監査とは、本社や役所が、会社を訪れ「書類」「現場」を検査すること。

筆者コメント
・監査がいかに大変で、監査準備が忙しいかは分かっている。しかし、他の支社に迷惑かけないでもらいたいという気持ちは押さえられない。
・健康診断を忘れた人の分の手続きをすることで、手当でも支払われるなら喜んでやるが、全く余計な仕事である。

これは、マジックワードは理解できるし、健康診断手続きも実際に行うが不満が残る例である。

４　Aのことがありますから。

シチュエーションを箇条書きで述べます。
・ある会社の、２４時間稼動している交代制勤務の工場がある。
・そこには、小中高校にあるような保健室がある。
・保健室なので、医者はいないが、係が２４時間いて、市販薬を出したり、ちょっとしたケガの治療、具合が悪い人のためのベッドが数個ある。
・その工場は、社員食堂があるが、夜の時間はアルコールも出るようになるので、昼の勤務を終えた人が、居酒屋として利用することもある。１０人くらいの飲み会も頻繁に行われる。
・その工場の前には、社員寮があり、独身者はそこに住んでいる人が多い。
・金曜日が多いが、２２時頃保健室の前にリアカーが泊まる。
・何かと思って保健室の係の人が見に行くと、荷台には酔いつぶれた若手社員がいる。
・リアカーで酔いつぶれた社員を運んできた４〜５人のうち、一番の先輩社員が「保健室で一晩預かってください」と言う。
・保健室の係も「酔いつぶれた人なら、寮に連れて帰って、誰か付けて、吐いたりしないか面倒見てください」と言って断ろうとする。
・先輩社員は「Aのことがありますから」と言う。
注）Aは、この日の数年前、工場内で発作を起こし、保健室に運ばれてきて、救急車を呼んで搬送してもらった人。
・Aの名前を出されては、断るための大義名分はなくなり、保健室のベッドに一晩預かった。

筆者コメント
・酔いつぶれた社員のことを考えれば、保健室に預ければ心配ないというのは理解できるが、本音では「寮に連れて帰って、自分が一晩見るのは面倒だから」ではないのか。
・または「万が一、生死に関わることが起こったとしても、”私は保健室に預けました。そこから先は保健室の責任です”と言いたいからではないか」という不満は残った。

これも、マジックワードで断ることはできず、酔いつぶれた社員を預かるが、何か不満は残った。

まだ続きます。