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2019年12月06日01:28

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デュメイのリヒャルト・シュトラウス

関西フィルハーモニー管弦楽団
第306回 定期演奏会
2019. 11.29
@ザ・シンフォニーホール

指揮&ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ
ピアノ:上田 晴子

[プログラム]
●R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18 【R.シュトラウス没後70年記念】
●R.シュトラウス:メタモルフォーゼン(変容)〜23の独奏弦楽器のための〜 【R.シュトラウス没後70年記念】
●メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 作品56 「スコットランド」

久し振りのザ・シンフォニーホール。やっぱりフェスティバルホールより、細かい音が聴こえてきてくるし、響きも豊か。舞台後ろのP席2000円の超貧民席で、ティンパニがドンドコうるさいんだけど、それでも満足できてしまう。そりゃ大フィルのほうが上手なんだけど、今まで聴いた関フィルの演奏会で満足しなかったことがないから、ホールの響きって大切だと思う。
デュメイさんが関フィルの音楽監督になったのは2008年だけど、彼の演奏会に行ったのは今回初めて。基本的に彼は古典作品をとりあげることが多いので、大編成好きの私にとっては、そこまで魅力を感じなかったのだが、今回はリヒャルト・シュトラウスのあまり聴く機会の少ない曲目が演奏されるということで早くからチケットをおさえていた。
オーギュスタン・デュメイといえば、フランコ・ベルギー派の正統な継承者。http://fstrings.com/board/index.asp?id=2117&t=2002
大手レーベルからレコードを何枚も出している世界最高峰のヴァイオリニスト。そんな彼がリヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタをオケの演奏会で演奏するのだ。つまり1曲目はデュメイさんのソロリサイタルという変わったプログラム。まあ、素晴らしい演奏だったのだが、演奏後の拍手はちょっと遠慮のあるような、なんかオケが出てないのに盛り上がっていいのかなみたな感じだった。大フィルのときにも書いたのだが、リヒャルト・シュトラウスは派手な曲だけではなく、伝統を受け継いだ古典的な曲も書いていて、ヴァイオリンソナタはまさにその典型。デュメイさんの優美な音色にうってつけの曲だ。これが2000円で聴けるなんて。
2曲目のメタモルフォーゼンはリヒャルト・シュトラウス晩年の作品。ベートーヴェンの交響曲第3番の第2楽章、葬送行進曲のメタモルフォーゼであるのだが、第二次世界大戦で破壊されたドイツの変わり果てた姿と重ね合わされている。弦楽合奏のための、ではなく、わざわざ23の独奏弦楽器のための、と銘うってるのは、1人1人にパートが振られているからで、さすがリヒャルト・シュトラウスだと思わせる複雑で分厚い音が鳴る。"弦を知り尽くした"デュメイさん指揮のもと、関フィルの弦楽セクションの熱演は素晴らしかったが、この暗くて重い作品はなかなか手強い。鳴っている音が複雑であるがゆえに、逆に単調に聴こえてしまうといったらいいのか、わかりやすいメリハリみたいなのがないので、いつの間にか終わっちゃったみたいな感じになる。これも熱演のわりに拍手はおとなし目。
だからってことはないんだろうけど、3曲目、メンデルスゾーンの「スコットランド」は、盛大な拍手。出だしの木管が不安定で、あれって思ったけど、そこで大人しく安全運転になるのではなく、ためらわず次の音を出していくのに好感。それが演奏の熱量となって、とてもいい演奏になった。
で、今年はこれでコンサートはおわり。まだまだ年末の第九には行きませんよ。来年は1月に京都市交響楽団の演奏会に行く予定。
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