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2019年10月18日00:21

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しぶとく生き残っている努力の人

 テレビの『ちびまる子ちゃん』は、キートン山田のナレーションが皮肉が利いていて面白かったので、以前はよく見ていたものでした(最近でも時々見ています)。
https://www.youtube.com/watch?v=OmTJQVnNq5Y

 でも、テーマソングの“おどるポンポコリン”には、1か所、ホントに?と突っ込みたくなる所があります。それは、”♪エジソンは えらい人 そんなの常識” というところです。というのは、エジソンという人は、本当に偉い人だったらしなかっただろうなと思われることを、結構平気で仕出かしているからです。
 その最たる例は、白熱電球の発明や電気の普及をめぐってこの人が採った一連の行為に見られます。
 実を言うと、エジソンは厳密には白熱電球を発明していません。
 白熱電球はイギリス人のジョゼフ・スワン(上掲写真中央)が発明し、1878年にはその特許も取っていました。ただ、スワンの白熱電球は短時間しか使用できず、実用的なものではなかったところ、エジソンはフィラメントに日本の竹を用いることで、長時間の使用に耐える実用的な白熱電球を作り出しました。そこで、エジソンはスワンに共同事業を提案し、1883年に両者は共同して電灯会社を設立しました(エジスワン社と呼ばれた)。
 もっとも、エジスワン社設立の何年も前から、エジソンは、マスコミを通じて「もうすぐ電気の時代がやって来る」と大々的に報じたため、当時主流だったガス灯がもうすぐなくなるといった憶測を生み、ガス会社は株価が暴落して大損害を被ったと云われています。
 そのうえ、竹によるフィラメントよりも長持ちするセルロース製フィラメントを用いた電球をスワンが発明し、エジスワン社ではもっぱらこちらを販売したため、まもなくセルロース製フィラメントを用いた電球が業界における標準となったということです。
 しかも、エジソンは白熱電球を実用化はしたかもしれませんが、電気そのものの普及には失敗しています。直流送電にこだわったからです。
 ご存知のとおり、電気には、時間によって大きさが変化しても流れる方向(正負)が変化しない直流電流と、周期的に方向が変化する交流電流とがありますが、直流は送電ロスが大きく、家庭に供給するとなると、町じゅうに発電所が必要になってしまいます。これに対し、交流はそのようなロスは少なく、加えて電圧を調整しやすいというメリットもあります。そのため、今日では交流が主流になっているのですが、これは元々エジソン電灯会社の従業員だったニコラ・テスラが提案したものでした。
 ところが、すでに直流送電に向けて準備を進めていたこともあって、エジソンはテスラの提案を拒否し続けたため、テスラは退職し、自らテスラ電灯会社を設立し、交流の特許も得て、商用電源の開発を続けていった結果、世論も次第に交流の優位性を認める方向に傾いていきました。
 これに危機感を覚えたエジソンは、何とも子供じみた嫌がらせ行為に出ました。処刑用「電気椅子」を開発し、その電流を交流にしたのです。これは、交流=危ないというイメージを人々に植え付け、自分が開発している直流システムの優位性をアピールするためになされた一種のネガティブキャンペーンだったと見られています(一説には、子どもたちに野良犬・野良猫を獲って来させ、それを「電気椅子」で”処刑”して見せて交流=危ないというイメージを植え付けようとしたとさえ云われています)。
 ちなみに、エジソンとテスラは、後年ノーベル賞の受賞を打診されたのですが、共同研究的な同時受賞だったので、どちらも拒否して、ノーベル賞を貰い損なったと云われています。

 こういうわけで、エジソンには偉い人と言うにはちょっと…というところがあるのですが、ただ何分「努力の人」だっただけあって、そのしぶとさには驚かざるを得ないところがあるのも事実です。
 LEDライトに押されて、今や白熱電球は姿を消しつつありますが、上掲写真左の白熱電球とLED電球とを見比べてみてください。口金のところが同じ形をしてますね。このねじ込み式の口金は「Eベース」と呼ばれているのですが、このEはエジソンのイニシャルのEということです。
 エジソンは白熱電球の発明者ではなかったにもかかわらず、白熱電球の生みの親のように一般には思われていた上、白熱電球が姿を消しLED電球の時代になっても、こんなところではしぶとく生き残っているわけです。
 なお、白熱電球の発明者のスワンもEベースとは異なる独自の口金を開発しており(スワンベース 上掲写真右参照)こちらの方もLED電球の時代になっても細々とその命脈を保っているようですが(耐震性に特に優れているらしい)、ただ生産量では圧倒的にEベースのLED電球が上回っているということです。

 今日は、トーマス・エジソンの88回目の命日です※
 なお、明々後日の21日は、1879年のこの日に、エジソンが京都産の竹を使って白熱電球を完成させたことに因んで、日本では”あかりの日”とされています。


※実は今日は、以前こちらの日記(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1968868335&owner_id=22841595)で触れた固定式電話の発明者アントニオ・メウッチの130回目の命日でもあります。もっとも、エジソンが生きていた当時はベルが固定式電話の発明者とされ、自らも電話の開発に有益な技術を開発していたエジソンはそれに納得できず、訴訟まで起こしていたということです。もちろん、メウッチのために訴訟を起こしたわけではなく、自らが開発した技術をもって自分が固定式電話の発明者であると主張したのです(敗訴))。
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