mixiユーザー(id:2281137)

2020年06月03日10:07

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初夏近くmixi日記27

一句詠もう。

まろうどのなき庭を清める

そんなmixiである。

椎名誠の小説「アド・バード(近未来SFもの)」に、デパートの接客用に作られたアンドロイドが、人類がいなくなった地上で何十年も、来ないお客をひたすら待ち続けてゐる、といふシーンがある。
お客様を案内する、といふ使命だけをプリセットされたアンドロイドなりに、もぅ誰も来ないのかもしれない、といふ予感をわずかに持ちながらも、仲間のアンドロイドが皆倒れてしまった今、お客が来たら自分が対応するしかない、といふ「指令」を守り続けやうとするアンドロイド。

コロナで人類の活動が縮小され、森や山や海に自然が還りつつある、といふ記事もたまに見かける。その信憑性ははなはだ疑わしいとは思ふが、人類が死に絶えた世界が、ちきう本来の姿を取り戻しつつ、そこに、自らの意思を持たぬもの、がもぅ存在せぬ主人の帰りを待ち続ける、といふのは、切ない。

ハチ公のやうだ。

美談として語られる渋谷のハチ公物語。
ニンゲンを慕うもの言はぬ生き物、としてはたしかに彼は忠実な友人であったであらう。
だが、彼を「犬」、ケモノとして見た場合、彼はやはり帰らぬあるじを見切り、残飯を食って生き延びるべきであった、と思ふ。

それを云って『ひどい』と言はれたことがある。


そんな初夏の始まりである。
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