ハモりが下手な歌手、てのがゐる。
ソロで歌えばそこそこ上手いが、ハモる、となると途端にばらばらに崩れてしまふ。
自分が出してる音が取れぬ。
他人の音に釣られる。
よぅは「音楽が」下手なのだ。
さういふ歌手だ。
だが、ソロとなるとビシっと歌うので、世間的には「上手い歌手」と云はれる。
んで、歌手、てのぁそもそも自己愛の強い人たちなので、上手い歌手、と云はれるとその気になる。で、たまに本当に上手い人と一緒に演ってボロを出す。
私は演奏家でもあり、歌手でもあるので、この手合いには割と容赦しない。
ボロが出るだけ出させ、コテンパンに叩きのめす。
ホンマに「二度とワシの前で歌手を名乗るな」と云はむばかりに、いじめ抜く。
昔は「本当に音痴な人」といふのが、もっとたくさんゐた。
頼むから歌うな、と思ふやうな、ひどい歌を歌う人の割合は、今よりづっと多かった気がする。今はそれほどでもない。みんな、そこそこ、上手くはないにせよ、ド下手ではない。
なぜか?
音痴の人、はいなくなったのだらうか?。
そんなことはない。
音痴はちゃんと存在する。
だが、音痴はみんな「器用」になったのだ。
だから、誤魔化すのが上手くなり、一見音痴がいなくなったやうに見える。
私は何も絶対音感がないとダメだ、などとは云はぬ。
いやむしろ絶対音感に対しては常々懐疑的 否定的な意見を隠さぬ主義である。
ピッチが正しいことが音楽の全てだとは云はぬ。
だがピッチの悪い歌を聞くのは我慢ならん。
ハモってすらおらんのに、音程に届いてないメロを最後まで歌いきれる、あのビヂュアル系の歌手なんぞ、逆にスゴいと思ふ。
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