話すときにやたらと相手を「叩く」タイプの人がゐる。
おばちゃんが笑いながら平手で肩のあたりを叩く、のが一般的だが、ときには、えぇ年こいたおっさんが拳や裏拳で叩いて来るケースがあり、辟易する。
こないだもさうだったのだが、まぁ少し年上の世代=先輩にあたる人で、結構久しぶりに酒宴を共にした。めっぽう気の良い人なのだが、酒が入ると行動が大きくなる。酔いが進むうちに明らかにやや「やりすぎ」のかんぢになり、同じ話を繰り返しては隣にゐる私の肩や背中に裏拳を打ち込む。肩をぶつけるやうに(ぶつけて)身を寄せて来る。
『痛いス』
とか最初は云ってたが、そのうち『痛いって!』と返すやうになり、ヤケになって私も叩き返すやうになった。さすがに拳は使わなんだが、どーせ憶えてないだらう、と、最後らへんは結構な力で背中を平手で叩きまくってやった。
明日は結構痛いんではないか?と思ふが、知らん。
このやうに私は「さりげない復讐」が好きだ。
以前、やはり飲みの席で私にだいぶ失礼なことを言った御仁がゐて、これはまぁ上司・・といふか当時仕事を世話になってゐたところの「社長」なのだが、まぁ日頃からなんか超然とした私の態度にムカついてゐたらしく、えらい絡んで来た。あまつさえ、私の友人にも失礼なことをやり始めた。
帰り、店の前で解散したとき、絵に描いたやうな千鳥足になってゐたその社長を、私は介抱するふりして道端のゴミ袋の中に叩き込んでやった。
叩き込んだ後、『あぁ!社長しっかりしてくださいよ』と助け起こし、あたかも私が助けたやうなかんぢに仕組んだ。
爽快であった。
復讐とはこの世で最も甘美な感覚である。
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