mixiユーザー(id:2259020)

2019年01月16日22:44

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私の部屋

6畳ほどの狭い部屋の窓から四角く切り取られた空を見る。雲ひとつない青い空がある。その青さは自分の記憶の中にある、かつてみたはずの空より淡いように思える。海との境目が曖昧なほど青かった空。その深さがこの空にはない。だが、確かに雲ひとつない同じ空だ。
この部屋の中で目の前の端末に情報をただただ入力していくのが私の仕事だ。9時から5時まで。毎日定められた時間をこの部屋で過ごすことで賃金をもらっている。ただ生活するのに足るだけの賃金。それ以上では決してなくて、かと言って大きく不足することもない。大体寝ている時間を除けばこの部屋で過ごす時間が長いのだから特に消費するべきものもない。
窓から下を見下ろせば川の流れが見えるはずだ。この建物のすぐ横には小さな川が流れている。ただ、その流れを見ることは全くと言っていいほどない。常に空調を効かせた部屋では窓を開ける必要もないし、さらに窓際には門番のようにその場所を守り続けている同僚の席がある。
私はただ毎日ここに来て四角く切り取られた淡い色の空を遠くから眺めるばかりだ。
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