mixiユーザー(id:22439974)

2019年10月19日13:52

178 view

映画 "真実" 是枝裕和監督

”真実” 是枝裕和監督

大女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュを迎えた最新作。

世界中にその名を知られる、国民的大女優ファビエンヌが、自伝本「真実」を出版。
海外で脚本家として活躍している娘のリュミール、テレビ俳優として人気の娘婿、
そのふたりの娘シャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、
彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書─。
“出版祝い”を口実に、ファビエンヌを取り巻く“家族”が集まるが、
全員の気がかりはただ一つ。「いったい彼女は何を綴ったのか?」
そしてこの自伝に綴られた<嘘>と、綴られなかった<真実>が、
次第に母と娘の間に隠された、愛憎うず巻く心の影を露わにしていき―。
(公式HPより)

さりげない日常の会話や風景で家族の関係を静かに語る監督が、
フランスを舞台、そしてフランス語の会話で果たしてどんな作品に仕上げるのか?
そんな興味で観ましたが、これが凄くよかったです。
デビュー以降ほとんどの作品を見てますが、一番スッキリした終わり方かも。

ドヌーブが素晴らしい、もう貫禄たっぷりに自分勝手で家庭を顧みない、
傲慢な女優を演じています。
”真実”という自伝に書かれたデタラメな子煩悩な母親ぶりに怒りを覚えるビノシュ
との衝突、40年仕えたのに自伝に一切登場しないことに呆れて出て行く秘書、
才能ある若手の新進女優との共演での焦り。
そういう諸々を乗り越えて明かされる自伝に書かれていなかった本当の”真実”は、
真の女優であり母親であったという、、、いいお話でした。

劇中に撮影される映画のストーリーがSFで、病気のため宇宙基地で特殊な治療をし、
そのために歳をとることなく若いままの新進女優演じる母親、母親より先に年老いて
いく娘をドヌーブが演じるという設定(ドヌーブは不在がちな母親への寂しさという、
ピノシェと同じ気持ちを語ることに)、その新進女優が天才女優と呼ばれるも
若くして亡くなったピノシェの母親代わりだった叔母(ドヌーブの競演を
果たせなかったライバルであり、娘が自分より慕っている嫉妬の相手)と似ている
という設定が、ドヌーブとビノシュの母娘関係と女優業の真髄に上手く絡んでいて、
よくできた脚本だと感心しました。

幼い頃から不在だった母親への不満、久しぶりに一緒に過ごして
女優として感心したかと思えばやはり軽蔑したり(下ネタを振られたり)と
振り回されるビノシュ、アメリカのテレビ俳優とドヌーブに蔑まされる
ビノシュの夫のイーサン・ホーク、どちらもいい演技でした。
そして是枝作品の定番の子役ですが、フランスで撮っても、
やはり演技がとても自然で上手かったです。
最後の方のドヌーブとの会話が小粋で凄くよかった。

亡くなった叔母のドレス、街の楽隊に合わせてみんなで踊る場面とかも印象的。
そして真実がわかった後でのドヌーブの母親としてのやせ我慢、女優としてのプライド
演技なのか本人自身なのか、凄く”らしく”て、さすが大女優と感心しました。

吹替版では宮本信子と宮崎あおいが担当し、当初の日本語脚本に忠実な吹替が
されてるそうで、会話が紡ぐ映画なので、そちらの方も面白いことでしょう。
フランスの大女優の魅力を最大限に引き出し、
フランスなのにどこか日本映画のようにすっと心に届く会話と庭園の柔らかい光、
国境を超えて家族の絆を見事に描いた是枝監督に拍手を送りたいです。
素晴らしい。

https://www.youtube.com/watch?v=FFnCOaBNp6M


6 14

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年10月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031