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2019年02月19日16:16

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映画 ”ノーザンソウル”   

ノーザンソウル

1974年イングランドの地方都市を舞台に、ノーザンソウルに熱中した若者の青春映画。
UPLINK吉祥寺の迫力満点のサウンドシステムで。

学校にも家にも居場所がない高校生のジョン、無理やり参加させられたユースクラブで
ノーザンソウルと呼ばれるソウルミュージックに合わせて激しく踊る青年マットと出会う。
音楽に衝撃を受けたジョンはマットと意気投合し、一緒になってレコードを探し、
音楽に身を任せ夜な夜な踊りまくる。そんな生活に熱中し過ぎてジョンは高校を中退し、
マットと一緒にDJになるために二人でアメリカへレコード探しの旅を夢見るように。
堅実に働くジョンと薬にお金を使ってしまうマット、果たして二人の夢の行方は、、、。

若者誰しも持つ疎外感や焦り、新たなものに触れた時の衝撃とその後の熱狂、
友情と恋愛の素晴らしさ、夢の挫折や仲間との別れ、そして最後は新たな一歩へ。
そんな青春を有名曲はないけれどもノリノリなソウルミュージックで包んだ
いい作品でした。

音楽青春ものの映画というとだいたいバンドの結成云々というストーリーが
ほとんどですが(イギリスもんだと”ザ・コミットメント”とか”シング・ストリート”とか)、
この作品は衝撃を受けた音楽で踊ることに熱中し、
DJがかけたアーチストとタイトルを隠した(カバーアップと呼ばれる)神曲のレコードを
探し出すことに情熱を注ぎ、さらにはレコードを集めて自分たちのクラブを開く夢、
という珍しいものでしたが、新鮮で楽しめました。

とはいうものの、踊ったり、レコード探しに熱中というところに楽しさは共感できても、
あまり苦労が感じられないので、期待より意外とあっさりした印象も。
若者特有の悩みとかは共感できるし、音楽が新たな道を開いてくれたのもわかるけど、
音楽モノに限らず青春映画にありがちな、夢や友情や恋愛とかがうまくいきかけても、
途中でお決まりのように金、薬、犯罪、女に本人や仲間が溺れていくパターンに
この映画もハマっていって、そこは少し残念でした。
まあ、それを含めて青春ですが、そこまで道はずさんでも、とか、なんで我慢できんかな
とか思ってしまいます。
幸い、この映画のジョン自身はまだ真面目でよかったですが。
黒人の看護婦との恋もかなり奥手だったし。

最後は、喧嘩別れしていたジョンとマットも邂逅するわけですが、
そのためにジョンがとった行動がすごく彼らしく粋なものだったのが、
すごく素敵で、爽やかな感動を覚えました。

ノーザンソウルというのはこの映画で初めて知りましたが、マンチェスターとかの
イングランド北部で’60年代後半から聞かれ、クラブで踊られていたソウルで、
音楽ジャンル的な定義はなく、アメリカのソウルで無名のミュージシャンだけど
激しく踊れる曲ということが重要で、そういう誰も知らない踊れる曲を
いっぱい持っているのが良いDJの証だったとか。
日本のよくある、誰もが知っているJ-POPで同じ手の振りで盛り上がるDJとは違い、
この映画のDJや客は今よりも感度が高いというか、音楽が本当に好きだった
のだろうと思います。

踊りも情熱的で、驚いたことにブルース・リーのカンフーアクションを取り入れてたり、
アメリカの黒人が始めたものと思っていたブレイクダンスのようなものをやっていたり、
そしてみんなそれぞれの踊りで個性を競い合っていたというのも発見でした。
クラブでの踊りに青春をかけるという、この映画と同じコンセプトとも言える
アメリカ映画”サタデーナイトフィーバー”(設定的にはこの映画の3、4年後?)では、
みんなで踊りを揃えていたので(上手い人だけソロパート)、お国柄なのかなと。

この映画、’65年生まれの女性カメラマンが自身の若い頃を描いた初監督の作品、
イギリスでは2014年に公開されたのが、今になってようやく日本で公開。
関係者の尽力に拍手です。
当時のイングランドのファッションやクラブ、そして地方都市の生活、
そしていつの時代も変わらぬ音楽にかけた熱い青春とそのほろ苦さ、
そしてノーザンソウルの名曲の数々を大迫力の音響で堪能いたしました。

https://www.youtube.com/watch?v=jrNL6iHoJzo


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