河川水 自由律句 七月末〜八月頭

943颱風ひと雨気温下げてはくれまいか

944雨も降らさず颱風北に逸れた

945室温摂氏二十九度今夜も眠れず

946昼は昼とてうつらうつらミンミン蝉

947熱い空気かき回すだけの扇風機

948トタン屋根焼けて二階は窯の中

949トタン屋根焼けて夕立ち待っている

950天気予報大気不安定と繰り返すばかり

─ヴィバルディ｢四季｣(二句)

951未明目覚めれば『冬』の皮肉か熱帯夜

952『春』になると空も白々明けて来る

953少しだけ涼しいか興梠鳴く

954眼鏡の皮脂(あぶら)石鹸で洗う眼涼しくて嬉しい

955老眼鏡冷蔵庫で冷やしてみるが忽ち曇る

八月

956局地的豪雨ここには一滴も来ない

957遠雷か唯の耳鳴りか

958汗の匂いは小水のそれに似ている

959今日も絵筆も持たず自称画家

960転げたマスカット食べるわけでもなく戯れる猫

961つらくて絵も描けない俳句弄ぶ

962一瞬庭を横切るアライグマの夢

963タラの芽の天麩羅美味い民宿と山

964雪渓に缶ビール突っ込んでおく

965腰痛め今は夢の中だけ登山行