ナチス・ドイツの強制収容所Das Konzentrationslager＝KLについては私はミュンヒェン郊外のダッハウDachauにおそらく4回、ワイマール近郊のブーヘンヴァルトBuchenwaldに2回ほど行っているが、友人から盛んにアウシュヴィッツに行って来いと言われていたので、良い機会なので行くことにした。
各種情報によるとここは大変混み、個人で行くのは大変なのでツアーがおすすめとある。自由に時間を使い、見たいので、通常ツアーには参加しない私であるが今回はツアーに参加することにした。ツアーの価格には非常に幅がある。この収容所をより良く理解するためには日本語のツアーが一番良いのだろうが極端に高いし、相当先でないと予約ができないようだ。日本語アシスタント・ツアーと言うのもあるが2日以上前でないと予約が出来なく、また価格も1万円以上する。そもそもその日本語アシスタンスと言うものの定義が明確でない。また安いツアーは往復だけのサービスなので気を付ける必要がある。
私の選んだのは「GetYourGuide」というサイト経由で申し込んだ「Krakow Booking」という会社の英語ガイド付きツアー。オストラーヴァから申し込んだので価格は1,044kcとチェコ・コルナ建、約5,000円。集合は10:05にシェラトン・ホテル近くのStraszewskiego 14という場所で「Hotel Moltański」前のバス停。この14番地とホテルの前と言うのをしっかり把握しておかないと間違える。集合場所にはかなりの人々がすでに集合していたが、私が近づいていくとすぐに添乗員が気づいて対応してくれた。ステッカーをもらい、大型バス「No. 8」に乗り込む。バスは10:10に出発。高速道路ではなく一般道を快走する。ただし随所にラウンドアバウトがあるのでスピードを落とす。バスの中では施設内に持ち込めるバッグの大きさなどの説明などが添乗員からある。バスは11:25にアウシュヴィッツの駐車場着。ここで25分休憩。この間にトイレ（個人入り口の右の入り口から入り地下に降りる＝2zl。お釣りももらえる＝）に行ったり買い物をしたりする。その1階には本屋や食べ物飲み物の売店がある。11:50に集合すると団体入り口からセキュリティー・チェックを受けて中に入る。そしてオーディオ・ガイド機器を受け取り首から下げる。その先に女性のガイドが待っていた。
ゲートに着くと確かに「ARBEIT MACHT FREI」の「B」の上の方が大きくなっている。このキャンプの内部には規則正しく瀟洒なレンガ造2階建ての建物が続く。シーズン・オフだというのにツアーが引きも切らず、1つのグループが移動すると、こちらもその場所に移動するという感じだ。中に入ってもあまり悲惨さは感じられない。しかし収容者から取り上げたスーツ・ケース、靴、食器、はたまた女性の髪の毛がうず高く積まれているのを見るとSSの残酷さだけではなく強欲さに呆れ憤りを感じる。パネルの展示も穏やかで、人体実験などについてもガイドの口から聴くのみだ。ガス室に入り、焼却炉を見る。このアウシュヴィッツの施設が小規模であることが分かる。なぜここアウシュヴィッツはここまで注目され、訪問者が多いのだろうか？
まず、保存状態が非常に良く、ポーランドがナチスの犯罪を大々的に告発しているためだろう。そして世界遺産（文化遺産）というのが大きいと思われる。アウシュヴィッツはここが解放される数か月前から証拠隠滅作業が行われていたというが本当なのだろうか？浮足立ったSSの連中は完ぺきには証拠隠滅を行わずにアウシュヴィッツから逃げ出したのではないのか？
ここでのツアーは13:35に終了。オーディオ機器を返却し、外に出る。ここに添乗員が待ち構えていて15分の休憩の後、13:50にバスの中に集合するよう言われる。しかし2人が遅れて戻ってきたので出発は14:00。約10分でビルケナウ駐車場到着。ここから10分ほど歩き、ビルケナウで先ほどのガイドと合流。このビルケナウはアウシュヴィッツの処理能力があまりのも低いので近くの広大な敷地に作られたKL。その為アウシュヴィッツIIとも呼ばれる。こちらはまさに大量虐殺をやった地なのでSSもヤバいと思い、証拠隠滅をかなりきちっと行った。ガス・チェンバーやファーネスは爆破し、「カナダ」と呼ばれる収容者から巻き上げた品物の倉庫も燃やしたという。
このビルケナウでは女子用のバラックに入った。ここは平屋建てで3段ベッドが連なっており電気もついていなかったので大部分の場所は実に暗かった。スポット・ライトを当ててくれて蚕棚の中が見られたが、1つがおおむね2畳（180cmx180�僉飽未妨�受けられた。これが1人用と言うことはないので、1つの蚕棚に何人かが押し込められたのだろう。ビルケナウの問題の1つに飲料水の問題があったと聞いた。また便所に行ける回数は昼間の2回に限られていて、夜間には行けなかった。水が悪く下痢を患うものが後を切らず、夜の便所行きもできなかったので衛生状態は極端に悪かったそうだ。
15:05ビルケナウ見学終了。15:10に駐車場に到着すると休憩。15:30集合。15:40出発。16:50に出発した場所に帰着し、解散。
添乗員がしっかり仕事をしてくれたし、問い合わせに対するメールに対する返答も素早かったので、このツアー会社への私の評価は高い。
アウシュヴィッツでの見学は押すな押すな状態でじっくり見られる環境ではなかった。したがってナチが何をしたのかをきちっと見極めるには、私が行った中ではダッハウがいちばん良いと思った。ブーヘンヴァルトもアウシュヴィッツよりははるかに説得力のある施設だ。したがって本当に知りたい場合には、「世界遺産」というお墨付きに惑わされないよう、またアウシュヴィッツ1か所だけの見学で済ませないようにしていただきたいと切に思った。
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