mixiユーザー(id:2230131)

2008年06月14日14:58

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LP5/Autechre

『キッドA』以降、誰もがその未知なるサウンドに触発され、エレクトロニカの迷宮へと潜り、その過程で数々の先鋭的なアンダーグラウンド・テクノが表舞台にて発見されることとなった。

例に漏れず僕もその中の一人だったんだけど、よりによって初めに手を出したのがエイフェックス・ツインの『リチャード・D・ジェイムス・アルバム』だったのがまずかった。
「こんな意地の悪い音楽はこりこりだ」って即座に拒否反応を示してしまい、それ以降、このジャンルのパイオニア的存在であるオウテカに対しても興味をそそられることなく素通りしてきてしまった。

あれから8年余り、改めてオウテカを聴いてみて思うことは、今やエイフェックス・ツインへの耐性ができた耳で聴くと、そんなに衝撃的ではなかったってのは事実。
冷静に聴けば十分複雑な音楽だと思うんだけど、いやはや感覚の慣れってのは恐いものです。

このアルバムの特徴として、とにかくせわしないビートが多いこと。あと、グリッチ・ノイズからクリック、そしてシンセでのドローンなど様々な手法を駆使していて、音色に対するこだわりは相当なもの。
また古代文明を思わせるような独特な音階が使われてて、このあたりはいかにもトム・ヨークが好きそうなラインですな。
基本的にワン・アイディアを引き延ばして反復させる作りで、楽曲構成に関しては目を見張るものはないんだけど、全体を俯瞰した時にどこかスリムで聴きやすい印象を受ける。これだけ複雑なリズムをスッキリ整理させるには相当なスキルとプログラミング技術が必要とされるだろう。

個人的ベストは、素っ頓狂なビートでどこか勇敢な気持ちになる"Rae"。これは陶酔できます。あと"Drane2"の幾層にも重ねられたシークエンスの美しさも秀逸。

あらゆる意味において、優れたエレクトロニカの見本市のような作品。
まずはこの作品から迷宮に入れば、あなたも道に迷うことなく歩みを進められると思います。
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