Born To Run／Bruce Springsteen

スプリングスティーンは聴いてみようという気になれなかった。
長渕や浜省のヒーローっていうパブリック･イメージがあったので。そう、あのダサくて暑苦しい、時代遅れのロックスターってイメージ。
ところがある日、友達が「パワー度が半端ねぇ！」と絶賛していたので（笑）、代表作であるこのアルバムを半信半疑で聴いてみることにしました。

確かに、声のパワー度が半端ない。(オウム返しかよ)
しかし、その野性味溢れるパワーボイスに反して、勢いまかせでギターをかき鳴らすような単純な楽曲は全くない。意外にも職人気質な音作りで、演奏がとても丁寧。
様々な楽器が使われていて音数は決して少なくはないのですが、歌の邪魔はせず、要所要所で素晴らしいフレーズを奏でてくれます。
特に"Backstreets"や"Jungleland"のピアノのイントロは思わず涙ぐんでしまいそうになりました。賑やかなブラス･セクションもワクワクさせられる。
確かに、発想としてダサい部分もあるのですが、それさえ気にならなければ問題ないでしょう。
というか、そのダサさが良いんじゃねえか！と思って聴いています。（ハマったかな）
勿論、彼の書くメロディがとても良いからこそ、そう思えるのですが。捨て曲がなく、完成度の高いアルバムです。

イメージで音楽を聴いては(選んでは)いけないな、と少し反省しました。
これを聴いたことで彼のイメージも更新されました。
"ダサくて暑苦しくて時代遅れなロックスター"が、
"ダサくて暑苦しくて時代遅れだけど最高にクールな音楽家"に変わりました。
（あまり変わってない？）